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エピローグ
この短い間で、本当に、本当にいろいろなことがあった。
……ヤンデレなんてリアルに居ないだろうと思っていたのに。ゲームのような状況を強く望んでいた日もあったが、今では勘弁願いたい。寿命が何年あっても足りないし、心臓も在庫切れになってしまう。
だけど、なんとかやり過ごせた。危機は何度か訪れたが、いなすことができたのだ!
癖の強い友人たちだが、これからはきっと健全な友人関係を築くことができる。俺はそう信じている。 ──まあ、一名ほど、卒業までに対処を要する人物がいるが、それもなんとかなるはずだ。
ゲームで言うならば、まさにトゥルーエンド。ハッピーエンド中のハッピーエンドだろう。
「……よかったなあ」
「は、なにいきなり?」
教室の中。いつものように友人とともに談笑する中、ぽつりと零す。幼馴染が怪訝な顔をした。
「いや、なんか──いろいろあったけど、良かったと思って」
「……? よくわかんねーけど、お前が満足ならそれでいーわ」
呆れたように笑う彼に、俺も笑って返す。
「これからもよろしく!」
「……おう。──これからも、|よ《・》|ろ《・》|し《・》|く《・》な」
どろりとした目で、親友が笑う。……よくよく見れば、周りの友人たちも同じような目をしていて。
……あれ、どこかで選択肢間違えた?
そう思えど、現実にロードボタンもリセットボタンもあるわけがなく。
たらりと背を伝う冷や汗に、笑顔が引き攣るのが抑えられない。
この詰んだ状況から助かるための攻略サイトを誰か作ってください。お願いします。
まだまだ続く波乱の予感に、現実逃避をするしかないのだった。
──俺の未来は、いや、明日はいったいどっちなんだ。答えてくれる人は、いなかった。
完…………?
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