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第1話

 城門のように重厚な門扉を馬車が通り抜け、やがて止まった。  車窓を見ると、王都の宮殿と勘違いしてもおかしくない巨大で豪華な屋敷がそびえ立っている。  目下、国内貴族で最も権勢を誇るアルドリット公爵邸である。  これはもはや人の住まいというより観光名所かテーマパーク。  貴族の屋敷はその富と力の象徴だ。一般庶民はこの必要以上に煌びやかな屋敷を見て感動し、貴族に憧れと畏怖を抱くのだろう。  俺も庶民だ。けれど、この屋敷を見ても心動くことはない。公爵邸だもんなとシニカルに思う程度。なにしろこういったものは前世で見慣れている。実物ではなく映像や写真だけど。  そう、俺は前世の記憶を持っている。  日本の地方都市で生まれ育ち、親から譲り受けた小さな町工場を経営していたが、三十歳で交通事故死した。  それを思いだしたのは十歳のとき。思いだした直後は、これってラノベや漫画でよくある転生? てことは今世ではチート能力とかあったりして? なんてワクワクしたものだ。  しかし俺にチート能力など備わっていなかった。ステータスオープンなんて叫んでみてもなにも起こらなかった。それでも少し待ったら世界の危機が訪れたりして、と想像したりもしたが、いつになっても魔王も魔物も現れない。世界はいたって平和だった。  そもそもこの世界に魔法なんて存在しなかった。  漫画でよく見る十八世紀ヨーロッパ風の世界観とも少し異なり、十九世紀のヨーロッパ風だ。俺が暮らすフィライーズ国は立憲君主国家で、汽車が走り、兵士や警官は銃を所持し、紳士はシルクハットで外出する。燃料は主にガスや石炭など。魔石なんてない。  国名も使用言語も前世の記憶にないことから、過去にタイムスリップしたわけでもなさそうで、どうやら普通の異世界に、普通に転生しただけらしい。  せっかく異世界転生したのに魔法がないのはがっかりだが、まあ、魔物に殺されたりせず平和に生きていけるのなら幸せだろう。  そんなわけで今年二十六歳になった俺は、今世の親から貰ったユーイン・ボナーという名で、公爵家の親戚であるドプソン子爵家で執事として平凡に暮らしていた。  平和な国の平凡な暮らしでも、人の営みとしてそれなりの事件は起こる。  今日、俺はアルドリット公爵家から唐突に呼びだされた。そして問答無用で馬車に乗せられ、たったいま、公爵家の屋敷に到着したところだった。  呼びだされた理由は大まかにわかっており、俺はこれから起きるであろう未来を予測し、げんなりしながら馬車から降りた。  黒髪をかき上げ、茶色の背広の襟を正して改めて屋敷を見上げる。  厄介な仕事が舞い込んだと思った。しかしそれだけだ。  このときはまだ、気づいていなかった。  ここが前世で読んだ小説の世界であることを。  さらに、小説ではありえない事態がこの身に起こることを。  迎えに出てくれた侍従に案内されて屋敷内の二階へ進み、廊下奥の扉の前で立ちどまる。公爵の執務室だそうだ。 「旦那様。ドプソン家のユーイン・ボナーさんをお連れしました」  応答を待ち、侍従が扉を開く。促されて室内へ足を踏み入れると、正面の大きな窓を背に、執務机に向かう青年が目に入った。  銀髪にブルーグレーの瞳の美形だ。中性的な顔立ちでハッとするほど美しく、鋭い目つきが特徴的だった。身体つきは俺より逞しく、男らしい。公爵の年齢は二十四歳と聞いているが、年齢より落ち着いた印象を受けるのは、貴族特有の硬質で冷酷そうな表情によるものか。  室内には他に二人いる。しかし俺はそちらに注意を払うことはできなかった。  正面にいる公爵と思しき青年から目を逸らせなくて。  美しい容姿に見惚れてるんじゃない。目があったとたん滲み出した威圧感がすごくて。  俺は偉いんだぞっていう権力者特有のいけ好かないオーラというか、貴族というよりマフィアのボスというか…ラスボス感が半端ない。  正直、ちょっと怯んだ。  そんな自分が悔しくて、反射的に見返す瞳に力を込めると、彼がおもむろに立ち上がった。 「…よく来てくれた。この家の当主のクライド・アルドリットだ」  普通、貴族がわざわざ立ち上がって庶民を迎えるなんてありえない。一瞬だけ、公爵は庶民にも礼儀正しい人なのかと思いかけたが、そんな思いはすぐに掻き消えた。  だって、立ったらよけい威圧感が増したから。  俺は細身だが平均身長はある。その俺より頭半分ほど高い位置から見下ろしてくる目つきが、いかにも傲慢で自信家な貴族っぽい。  俺は表情を消し、淡々と口を開いた。 「ドプソン家執事のユーイン・ボナーです。本日はどういったご用件で?」 「こ、これ! 公爵様になんという態度を! きちんとご挨拶なさい!」  部屋の端に控えていたおっさんが焦ったように窘めてきた。  そこでようやくほかの二人に意識がいった。  おっさんは地味な背広を着ているし、立ち位置から侍従か執事だろう。それから部屋の奥にある応接用ソファーには、公爵に似た容姿の青年が寛いだ様子ですわっている。公爵には弟が一人いるというから、彼がそうかもしれない。  それにしても公爵家の使用人のおっさんにどうして態度を窘められなければならないのか。主家の者に諫められるならまだわかるが。  ドプソン家は公爵家の子分のような立ち位置だが、俺はドプソン家に仕える身であって、公爵家とは雇用関係にない。領主でもない。突然連れてこられて、こちらとしては迷惑でしかないのに「お会いできて光栄です」とでも言えというのか。  この国には明確な身分制度があるから、庶民は貴族に対してやたらと卑屈だし、誰もがそれを当然と認識している。  日本人として生きた記憶のある俺は、それが少し気に入らない。みんな調教されすぎ、搾取されすぎだと思う。  もちろん俺のせいで公爵家と主家の関係が悪くなるのは避けたいし、人としての礼儀として、ちゃんと名を名乗った。それで充分ではないのか。  いや待て。この場合、本社社長と関連子会社の社員みたいなものか? だとしたら――いや、それでもやっぱり今の挨拶で充分だよな。 「いや、モーガン。いい」  公爵がおっさんに告げ、俺を見る。 「私の父が先月他界したことは子爵から聞いているだろうか。今日来てもらったのは他でもない、父の遺産相続の処理を頼みたかったためだ。あなたはとても優秀との評判を聞いた」  ドプソン子爵も葬式に参列したから、前公爵が急死した話は聞いていた。なんでも出先で脳卒中を起こし、そのまま亡くなったとか。 「ぜひともあなたに頼みたい」  公爵が机上にある書類を手にとる。俺は出入り口に近いその場から動かず、小首を傾げた。 「公爵家にも財政管理する方がいらっしゃるでしょう。公爵家の内情を把握していない私には荷が勝ちすぎます」 「もちろん、すべてをあなた一人に任せるわけではない。昨年から遺産税が導入されただろう。その計算方法が複雑と聞く。我が家の者は未経験で、少し不安なようでな。あなたは昨年、前ドプソン子爵が他界した際に経験しただろう。計算を手伝ってもらえたらいいんだが」  十年前から導入を議論されていた遺産税が、昨年反対を押し切ってついに施行された。我が国で初めての累進課税で、税率構造は1~8%。  日本の相続税も累進課税。前世で、二十歳で両親に死なれて町工場を相続したときには、わからないことだらけで税理士さんにいろいろ助けてもらった。  そんな記憶の助けもあって、昨年のドプソン家の遺産相続はすんなり処理できた。  未知の課税方式に接する者からしたら、経験者に確認したくなる気持ちはわかる。  とはいえ、べつに難しい計算ではない。他家の執事を呼ぶほどでもないと思うのだが。 「なあ。おまえ、やり手なんだろ?」  ソファにすわっていた弟(仮)が口を挟んできた。 「葬式のときに子爵が自慢げに話してたんだ。自分とこの優秀な執事のお陰で遺産税はほとんど払わなくて済んだって。俺が相続する分も、うまくやってくれよ」  なぜ俺がここに呼びだされることになったのか。それはたぶん、子爵が相続の件を大げさに喋ったせいだろうと予想していたが、やはりその通りだった。  俺は弟(仮)に向き直り、説明する。 「ドプソン家も遺産税は払いました。ただ、遺産税導入の議論が起こってから、いずれ導入されるだろうと予測し、前子爵の資産を現子爵名義に移すことを前々から計画的におこなっていたため、考えうる最小限の税額に収まったというだけです。我が国では隣国のような贈与税がないので可能でした」 「それな。うちもなあ、死ぬ予兆があったら…親が死ぬ前に名義変更しておけば、遺産税なんか取られずにすんだのになあ」 「ただ、亡くなる五年前までの贈与は遺産税がかかります」 「は。五年前に貰った金にまで税金かけるのかよ…。くそ、なんで親の遺産を国に横取りされなきゃならないんだ。しかも貴族も庶民もとるけど王家は免除って、ずるくねえ?」  遺産税は俺も理不尽な気がする。ただ日本の相続税は10%~55%だったことを思うと、1~8%は良心的と思っちゃうけどな。 「じゃあさ、五年以上前にすでに名義変更してたってことにしとけばいいんだよな。全部は無理だろうけどさ、ばれない程度に日付をごまかしたりとかさ…な? わかるだろ? うまいことやってくれ」  弟(仮)が含みのあるニヤついた顔を向けてくる。  これだから貴族ってやつは。 「それは脱税に加担しろということですか」 「いやいや、そうじゃない。脱税にならないように、上手くやってくれと言ってるのさ。なにごとも抜け道ってもんがあるだろ?」  弟(仮)は横柄な仕草で手をひらひらさせた。  そうじゃないとか言ってるけど、そういうことだろ。  これで言われるがままに日付をごまかしたりして、あとで脱税がばれたら「執事が勝手にやったことで自分は知らない」とか絶対言うだろ。  ドプソン家もそうなんだが、貴族って本当に自己中心的なやつばっかりだ。自分は偉いと思っていて、命令すれば庶民はなんでもすると思ってないか。奴隷と勘違いしてないか。  俺の中の反骨心を擽ってくる彼らに、嫌悪感を隠す気にもなれない。 「私は誇りをもって仕事をしています。あなた方のご要望には応じられません」  毅然と言ってやった。  すると弟(仮)はニヤつくのをやめ、睨みつけてきた。 「ぁあ? おまえ――」 「やめろサイラス」  立ちあがりかけた彼を、公爵が鋭く制した。 「すまない。弟の発言は聞かなかったことにしてほしい。私があなたにしてほしいのは、不正じゃない。先ほど言ったように、計算の手伝いをしてほしいだけだ。ミスのないよう正しく処理してほしい。遺産税導入開始以来、今回の我が家の件が最も高額な納税額となるだろう。税務局のチェックもひときわ厳しいものになると予想される。不正などしても看破され、恥を晒すだけだ」  やはり弟(仮)は弟だった。  そして公爵は弟よりもまともらしい。すまないと謝ってくれた。庶民の俺に。  しかし最初よりも圧が強くなっているというか…。両手を机について、やや前のめりの姿勢で俺を見つめる視線が、ちょっと怖いんだが…。 「……正常な処理でしたら、まあ…。しかし一日二日で終わるような仕事でもないですし、私の一存では。ドプソン家に相談しませんと」 「子爵になら許可を得ているが。聞いていないのか」  呼ばれたから行ってこい。きっと税金のことだろ。って言われただけなんだが。  ちゃんと説明してくれよ子爵。  まあ、話が通っているならいいか。というか、初めから俺に拒否権はないんだな。  子爵家の執事は他に俺の父がいるから、この時期は俺がいなくても業務に問題ないだろう。 「わかりました。では私の雇用条件に関する契約書を作成していただけますか」  こういうことは口約束じゃなく、身を守るために書面に残すことが鉄則。この世界の貴族は庶民を侮り、約束を反故にしがちだ。前世じゃ当たり前のことだが、ここは杜撰だ。  庶民のほうから侯爵に向かって契約の話を切りだすのは生意気と思われそうだが、大事なことだ。生意気と思われたっていい。実際生意気だし、ついでに言えば俺は細かい男だ。  公爵は、俺の申し出に不快そうな顔はしなかった。 「もちろんだ。そうしよう」  そこでようやく俺は椅子を勧められた。  それから俺は、遺産処理を終えるまで公爵家に滞在することになった。給与の他に衣食住費用も公爵家で負担してもらえる。 「ではすぐに着手したいのですが、作業はどちらでおこなったらよろしいですか」  すみやかに契約書を作成し終え、早速仕事に取り掛かることにした。 「家令の執務室でいいだろう。モーガン、案内してやれ。我が家の家令、モーガン・ベアードだ。わからないことがあったら彼に聞くように」  入室時に俺の態度を諫めたおっさんが家令とのことだった。家令は執事の上役で、使用人のトップだ。上流貴族の家にしかいない。ドプソン子爵家には存在せず、俺の父がその役割を兼任している。  彼に従って部屋を出て、隣の部屋へ入る。そちらが家令と執事の仕事部屋とのことだ。  隣室には家令に似た容姿の青年がいて、ぞんざいに紹介された。  家令の息子ドミニク。役職は執事だそうな。  貴族の家令や執事は世襲制が一般的で、うちもそうだ。  この国の執事の業務内容は各家によって色々だが、ドプソン家の場合は主に秘書と会計業務。  俺は幼いうちから仕えるための教育を受け、十五歳から執事見習いとして父の傍らについて財務管理を学び、十六歳には一人前の執事として仕事を任された。なのでまだ二十六歳ながらすでに執事として十年の経験があり、いまでは財務管理については俺だけでこなしている。  前世の知見もあり、それなりにできる男であると自負している。そんな俺をベアード親子は蔑むような目で見てきた。 「旦那様はわざわざおまえを呼んだが、本当は必要ない。すでに税額の算出は済んでいる。今日から明日、この部屋で過ごし、明日の午後に問題ないと旦那様へ報告したら帰るといい」 「そういうわけには。とりあえず書類をいただけますか」 「必要ないといっているだろう」  どうやら俺は、公爵家の家令にとっては招かざる助っ人のようだ。  まあ一般的に考えて、子爵家の財産なんて公爵家から見たら微々たるもので、その程度の管理しかしたことのない若造になにができると思われても不思議ではない。俺だって侮る。  だが俺だって来たくて来たんじゃないし、仕事するって公爵に約束しちゃったんだ。 「あなたの立場は理解できます。しかし私は公爵と契約を交わしました。書類の一枚にも目を通さず、虚偽の報告などをしたら、契約違反となります。どうぞ、お渡しください。渡せないというのであれば、公爵様の執務室へ戻り、その旨を報告することになります」  家令はチッと舌打ちし、書類の束を放り投げるように机に置いた。 「そちらの机をお借りしていいですか」 「ああ」  必要なかったならちゃんと公爵を説得してくれよと文句を言いたいのを堪え、書類のチェックにとりかかった。  公爵家は鉄道敷設権を手にしており、そのシェアは国の半分を有する。鉄道敷設権は鉄道を敷く権利だけでなく、駅舎や娯楽施設、飲食施設等々、周辺の統治権まで含まれている。他にも領地内に鉱山を所有しており、収益は莫大だ。確認すべき項目は多い。  しかし確認は、予想より早く終わった。すでに纏められたものを渡されたから。  内容に問題はなかった。渡された書類に関しては。 「過去五年分の帳簿も見せていただけますか」  俺がそう言うと、家令は明らかに嫌そうな顔をした。 「なぜ。いま渡したもので充分だろう」 「亡くなる五年前までに譲渡したものは遺産税がかかるのですが、この書類にはその点が記載されていないので。他にも漏れはないか、確認をしませんと」 「……」 「なぜそんなに嫌がるんですか。不正でもしてるんですか」  あまりにも嫌そうな顔をするから嫌味半分でそう言ったら、家令の顔が強張った。 「ば…、そんなわけがないだろう」 「でしたら見せてください」  畳みかけると、家令は忌々しげに俺を睨む。息子も気色ばんでいる。  この反応は、ちょっと怪しいよな。  子爵家の執事ごときが生意気な、というプライドだけでない気がする。 「どこにありますか」  俺は立ちあがり、帳簿らしきものが収めてある本棚へ向かった。ベアード親子は動かないので、自分で勝手に見つけだし、勝手に確認をはじめた。  面倒だが、関わった以上、己の名誉にかけて中途半端にはできない。  さすがに五年分の公爵家の帳簿を確認するのは大変で、それから一週間かかった。  結果、案の定というか、不審な処理を複数見つけてしまった。  それを家令には言わず、直接公爵に報告しておいた。するとその日の午後、公爵に執務室へ呼びだされた。  執務机の向こう側にすわりこちらを見る公爵は、相変わらず圧が強い。 「あなたに報告を受けた件だが。先ほどモーガンを問いただしたところ、横領を認めた。我が父の指示ではなくドミニクが勝手にしていたことで、モーガンが気づいたときには返せるような額じゃなく、言いだすこともできず今日まで来てしまったと。――二人とも解雇した」  公爵はため息をつくと、机上の書類を一枚手にとった。 「我が家には、財務管理をできる者が他にいない。私だけでは厳しい。そこで、あなたに依頼したい」  書類を差しだされ、俺は機械的にそれを受けとった。それは公爵家の執事としての正式な契約書だった。 「私を、公爵家の執事に、ですか…?」 「そうだ。遺産処理のための一時的な手伝いではなく、正式に雇いたい」  俺は驚き、狼狽して首を振った。 「いや、しかし……私など、務まるとは思えません」  不正を報告したのは、そんなつもりじゃなかった。  自分の仕事をする、ということだけしか考えておらず、その後のことは想像もしていなかった。まさか自分が後釜にすわるなど。滅相もない。  無理ですと呟く。この一週間で公爵家の収支についてはだいたい把握したものの、執事の仕事は経理だけじゃない。いきなり他家の執事なんて。見習い期間があるならまだしも。しかも家令もいないから、家令の仕事も俺がすることになるんじゃないのか。無理無理。  すると公爵が机に肘をついて両手を組み、凄むような上目遣いでじっと俺を見つめてきた。ズモモモという効果音と共に黒い靄が漂ってきそうな、絶対俺を逃がさないという気迫を感じ、思わず怯む。 「父の遺産処理も済んでいないのに、あなたの告発によって、我が家の家令と執事がいなくなった。もちろんあなたのせいではない。あなたの責任じゃない。責めるつもりはない。だが関わったのは事実。無関係じゃない。そうだな」  ……。  プレッシャーのかけ方よ…。 「…そうですが…」 「あなたに心があるならば、せめて後任が見つかるまでは、やってくれ、子爵家には私から言っておくし、報酬は弾む」  こんな言い方をされては、さすがの俺も突っぱねることはできず、頷くしかなかった。

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