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大河が産まれて初めて祝うことができた誕生日会は、信頼に値する人達の心からの祝福と素敵なプレゼントと共に沢山祝ってもらえて、無事に終えることが出来た。
これ以上にない感謝を一人ずつ述べ、一旦落ち着いた後、組み立ててもらったすべり台を大河が伶介と共に遊んでいるのを少し離れたところで見ていた。
「大河様が楽しそうで良かったですね」
「はい、本当に⋯⋯」
玲美と伶介が贈ってくれた素敵なプレゼントに再度感謝の言葉を心の中で言いつつ、「たのしいね」と笑いかける伶介に頷く大河のことを見ていた。
誰かが掛ける言葉に頷いたり、姫宮らが贈った言葉代わりのボードを駆使して意思疎通していた大河が自分の口で『ママ』と発した。
耳を澄まさないと消えてしまいそうな声であったが、そのたった二文字の言葉があれほど泣いたのに今も溢れるほど嬉しく思った。
"普通"ならば赤ん坊の頃に我が子が初めて発する言葉に感じる感動かもしれないが、それでも。
「たーちゃん、すべりだいもいいけど、ほかにもする? あ、はにわのぱずるがあるよ。こんどはあれであそぶ?」
「⋯⋯」
じっと見つめる大河。
「どうしたの?」と伺う伶介を見ず、周りを見渡した。
ゆっくりと一人ずつ見た時、御月堂の時止まった。
何故自分のことを見てくるのかと思っている様子の御月堂は緊張と少しばかり眉を寄せ、大河の反応を伺っていた。
周りの緊張も高まっていく中、大河が不意にぷいっと顔を逸らした。
それからそのまま姫宮と上山からのプレゼントである編みぐるみを抱えて御月堂らから離れた場所でお絵描きをし始めた。
「ぱずるよりもおえかきがよかったの?」
「⋯⋯」
伶介が声を掛けてくれているが、お絵描きに夢中になってしまった大河は聞こえないようで頷くこともなく手を動かしていた。
それでも伶介は隣で静かに見守っていた。
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