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第27話
「……?」
ドアを閉め、鍵をかけた宗一は違和感を覚え、動きを止めた。異様だ。まるで、家の中の空気が振動してるよう。
「白希?」
足早に寝室へ向かう。予想通り、そこに白希がいた。
だが床に座り込み、俯いている。
一体どうしたのか。確かめようと近付いた時、ベッドサイドに置かれた小型の加湿器から鈍い破裂音が鳴った。クリア素材だから分かったが、中に入った水がボコボコと沸騰し、上部に開いた口から吹き零れている。それはおさまるどころか激しくなった。
「はぁっ……は、あ……っ!」
胸を押さえて苦しみ出した白希の元に駆け寄る。
「白希!! 大丈夫!?」
少し離れていただけなのに、何がトリガーになったんだ?
彼が暗い記憶を彷彿とするような物は置いてないはずだ。
だがとうとう高熱に耐えられなくなり、加湿器が破裂した。
座位を保つことができなくなり、白希が倒れ込んでくる。
「白希、大丈夫だから落ち着いて。ゆっくり息を吐くんだ」
恐らく過呼吸を起こしている。すぐにおさまる様子じゃない。
キッチンにあるビニール袋を取りに行こうとしたが、シャツを掴まれた。
どこまで意識がしっかりしてるのか分からないが、彼は息も絶え絶えに呟いた。
「宗、一さん。……いかないで……っ」
白い肌に雫が零れ落ちる。
それを目にしたとき、ずっと守っていた一線を越えていた。
「……ごめんね。これはノーカウントで頼むよ」
白希の胸に手を当てたまま、唇を重ねた。
「んう……っ!」
荒療治じゃ済まないし、彼の気持ちを裏切る行為だ。
だけど、今彼から離れることなんて絶対にできない。苦しげにもがく白希を押さえ、熱っした息を交換した。
腕を掴む手に力が入り、軽く引っ掻かれる。それでも構わず、宗一は白希の顎を押さえた。
時針のない部屋では、一秒すら長い。どれだけの間そうしていたか分からないが、白希はようやく瞼を開けた。
「はぁ……っ」
その顔は、可哀想なほど涙でぐしゃぐしゃだ。加えて、口も。
離れる際、互いの口を淫らな糸が引いた。
「白希……んっ!」
大丈夫か訊こうとしたものの、今度は彼の方から唇を塞がれる。熱を求めているが、それを上手く伝えられない、つたないキスだった。
既に沸騰した頭は、自分の体温も分からない。唇を重ね、激しく求め合った。
柔らかいが弾力のある唇。ぬれた舌。全てが初めてのはずなのに、ずっと昔から知っていたような安心感がある。
白希は宗一の膝の上に乗り、彼の唇を必死に求めた。
大事に守っていた糸が切れてしまった。理性の糸……なけなしの良心の糸。
欲に負けて彼にまたがるなんて、あってはならないのに。
もう止まれない。
自分から触れてしまった。これは絶対スキンシップなんかじゃない。全然“足りない”んだ。身体の中にたまった熱を発散したくて仕方ない。
ずっと被っていた偽りの布を捨て、彼に触れる。その高揚は、息ができない恐怖を一時的に上回った。
「宗……ん、うっ!」
キスする傍ら、脚の間を無遠慮に掴まれる。
「ふふ。パンパンに腫れて、苦しそうだね」
「あ、やっ!」
宗一は衣服ごと、白希の猛った性器を揉みほぐした。しっかりと立ち上がったそこは、ズボンの上からでも形が分かる。
「やだ、汚れちゃうからっ」
「大丈夫。後で洗うから、たくさん汚しなさい」
腰に手を回し、逃げられないようホールドする。ベルトこそ抜き取ったが、彼が果てるまで服は脱がさなかった。
大きく後ろに仰け反った時、イッたのだと分かった。
ズボンを引き下ろすと、下着の中心は濃い色に変わっていた。
「宗一さんの……いじわる……っ」
白希は涙で潤んだ瞳で宗一を睨み上げた。ところが、それはむしろ気力を高めるスパイスになる。宗一は肩をわずかに震わし、舌舐めずりした。
「他人をいじめる趣味なんてなかったんだけどね。ここまで私の加虐心を引き出す君は、本当に罪な子だよ」
宗一は白希を抱き上げ、ベッドに寝転がせた。キングサイズのベッドは、男二人で寝転がっても存分に余裕がある。
白希の太腿をなぞりながら、ゆっくりと下着を脱がす。
「……綺麗だ」
白い太腿を上になぞっていく。
真っ赤に膨らんだ部分に顔を近付け、強く吸い上げた時、白希は声にならない声を上げた。
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