76 / 104

第76話

カーテンの隙間から朝陽が射し込んでいる。 今日も怖いぐらいの静寂と共に目覚めた。白希は立ち上がり、自分の左手を宙に翳す。 人は大人になるにつれ、独りで生きていくものだと思っていたけど。 あの人や大我を見ていると、どうもそうとは限らないようだ。むしろ他人との繋がりを強く欲し、手に入れようとしている。 何の為に? どれだけ考えても分からない。ただ、テーブルに置かれたサコッシュを見るととても懐かしくなる。誰かに会いたくて仕方ない。焦燥と情熱に浮かされそうになる。

ともだちにシェアしよう!