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第三章 前を向いて行こう!
いい夢だ。
夢の中で、隼人はそう感じていた。
温かな日差しに、そよ吹く風。
緑の草原に腰をおろし、青い空に浮かぶ白い雲を、眺めていた。
そんな安らぎを満喫している隼人に、声が掛けられた。
「お昼だよ、隼人さん」
軽やかな声の主は、比呂だ。
ランチボックスを開けた中には、おむすびが一つだけ入っている。
「はい、どうぞ」
比呂は、その一つしかないおむすびを、そのまま隼人に差し出した。
隼人は黙ってそれを受け取り、手のひらで二つに分けた。
「半分こ、しよう。比呂くんも、食べて」
「ありがとう!」
瞳を輝かせて喜ぶ比呂を、隼人は微笑ましく眺めた。
いい夢だ。
もう少し、この夢を見続けていたいな……。
そんな、ほのぼのとした空気は、あろうことか現実の比呂によって破られた。
「隼人さん、起きろ!」
「ぅぐうッ!」
ベッドでまどろむ隼人の腹の上に、思いきり飛び乗って来た比呂によって消し飛んだ。
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