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 この土地で、古くからの名士だった桐生家だ。  耐震に問題が生じたため、昔の屋敷は建て直したが、そこは裕福な家柄。  達夫は再び、大きな邸宅を建造した。  おかげで隼人の部屋も、とても広かった。 「そして、ベッドの広さも充分、と」 「何が言いたいのかな? 比呂くん」  それはもう、と比呂は目を細めてすり寄って来た。 「久しぶりに、エッチしようよぅ。とか?」 「久しぶり、たって。まだ一週間くらいしか……」 「だって! ずっと吉永さんが、隣にいたんだもん! キスすら、できなかったんだよ!?」 「解った、解ったよ!」  だから、静かにしなさい。  そんな意味も込めて、隼人は素早く比呂の口を、唇で塞いだ。 「ンむ! むむむぅ! むぅ、うぐぐ!」  そんなんじゃなくって、もっとロマンティックに!  そう、比呂は訴えたかったが、隼人の舌がひらめき踊り出すと、後は夢中で応えてきた。  比呂だけでなく、隼人もまたキスをしながら熱くなっていた。  深く唇を合わせ、舌を絡ませる。  そうするうちに、体の中心が充血する心地を覚えていた。 (まさか、そんな。キスだけで、こんなに昂るなんて)  10代の少年ではないのだ。  だのに、どんどん欲しくなる。 「比呂くん……。比呂くん!」  隼人は、慌ただしく比呂のパジャマをはだけていた。

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