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 通話を終えると、隼人の傍には比呂がいた。  笹山の大声は、スマホを手にしていない彼の耳にも、漏れ聞こえていたのだ。 「大丈夫かなぁ? 隼人さん。笹山さんに、ちゃんと説明しなきゃ」 「紫織さんの一件は、顔を合わせてから少しずつ伝えるよ」 「実は猫又でした、って?」 「さすがにそれは、巧くごまかすしかないな」  二人で笑った後、隼人は両腕を上げて大きく伸びをした。 「さぁ、新たなステージへ突入だ!」 「張り切ってるね、隼人さん!」 「私は、俳優として頑張る。そして比呂くんは、猫神様になれるように頑張る!」 「おー!」  元気よく応えた比呂は、隼人が脱いだブレザーを受け取った。 「バスタブに、お湯張ったから。まずは、お風呂で疲れを取ってね」 「ありがとう、比呂くん」  バスルームへと向かった隼人を見送り、比呂は彼の衣類を整え始めた。 「これは、クリーニングに出して。こっちは、洗濯機。これは手洗い、っと」  ふと、手が止まった。 「隼人さん……」 『私は、俳優として頑張る。そして比呂くんは、猫神様になれるように頑張る!』 「僕は、猫神様になれるように、か」  できるかな?  僕は、これからも。  今まで通り、猫神様を目指せるのかな?  紫織と共に過ごし、彼の苦悩や喜びを間近で見てきた比呂に、迷いが生まれていた。

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