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第三十九章 お風呂エッチ再び!
「我が家がある、というのは、なかなか良いものだなぁ」
バスタブに、ゆっくり浸かりながら、隼人は独り言をつぶやいた。
住み始めて、まだ間もないマンション。
だが、達夫宅から帰ると、そこは妙にくつろげる空間だった。
成人し、独立してからは、転々とホテル住まいをしていた隼人だ。
一つ所に落ち着くことの良さを、隼人は改めて味わっていた。
「仕事がひと段落したら、おじい様のお屋敷に同居させてもらおうかな?」
しかしそれでは、紫織が遠慮するかもしれない。
隼人は考えて、湯で顔を一つざぶりと洗った。
「じゃあ、戸建てを買おうか。マンションより、空間が広く取れる」
そして比呂くんと一緒に、保護猫たちと楽しく過ごせたらいいな……。
そこで隼人は、大切なことに気が付いた。
「このマンションで、こんなにくつろげるのは、比呂くんのおかげなんだ」
いつも、私が気持ちよく過ごせるようにと、気を配ってくれる、比呂くん。
ハウスキーパーとしての腕の確かさはもちろんだが、それに愛情を加えてくれるのだ。
居心地は、最高だ。
「比呂くん……」
小さく名前を読んだその時、浴室のドアが少しだけ開いた。
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