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ずっと二人で②
「渉、僕が君の項を噛んだから、僕達は正式に番になったよ。だから今世こそ、本当に君を幸せにしてみせるから」
「正悟……」
「それに、僕、渉の中に出しちゃったから、もしかしたら君が妊娠しちゃうかもしれない。もしそうなったとしても、僕がきちんと責任をとるから。君も生まれてくる子供も幸せにしてみせる。だから、僕と結婚してください!」
顔を真っ赤にしながら深々と頭を下げる正悟。きっと正悟は、渉が眠っている間に、いろいろなことを一生懸命考えていたのだろう。
その姿を想像するだけで、胸の中が温かくなってくる。多幸感に満たされて心が震えた。また、こうして再会できたことが心の底から嬉しかった。
「ふふっ。正悟、それじゃプロポーズじゃん? 気が早くない?」
「わ、笑わないでよ! 僕は真剣なんだから!」
「わかってるよ、真剣だって。でもあまりにも気が早すぎだろう? あはははは!」
腹を抱えて転げまわる渉を見た正悟が、唇を尖らせて不貞腐れた顔をしている。そんな姿も愛おしい。正悟の全てが心の底から愛おしかった。
「あははは! わッ、ちょっと、いきなりなんだよ⁉」
涙を浮かべながら笑う渉に突然正悟が覆いかぶさってくる。手首を顔の前で押さえつけられて、身動きすら取れなくなってしまった。突然の行動に言葉を失っていると、少しだけ怒ったような正悟に強引に唇を奪われてしまう。
「笑わないで。僕、真剣なんだから」
「ご、ごめん。もしかして怒った?」
「怒った。物凄く怒った。だから、どれだけ僕が君のことが好きか、今からよーく教えてあげるから覚悟してね?」
「あ、あッ……ごめんって」
「駄目だよ、許さない」
意地の悪い声で耳打ちされると、ようやく鎮まった体が再び火照り出す。お腹の奥で燻っていた炎が、また燃え盛るのを感じた。
「いい匂い……」
渉から溢れ出すフェロモンを吸い込みながら、正悟がうっとりと微笑む。
渉と正悟は強く手を握り合った。今度こそ、絶対に離れることがないように。そしてまた、二人の唇が静かに重なる。
それはまるで、二人の境界線がなくなって、二つの体が蕩けて、ひとつになってしまったかのように深く甘い感覚だった。
生まれ変わったオメガはもう一度恋をして……永遠の幸せを手に入れたのだった。
【完】
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