本文 「今日の晩めしなに？」 「豚汁だよ〜。もうすぐできるよ」 「おお、肉」 「お肉好きだよね」 「肉は世界を救うよな」 「うーん、真理……なのかな？」 「定理だな。人生の定理」 「どっちでもいいけど、できました」 「おお、うまそう」 「ごはん、大盛りでしょ？」 「もちろん！」 「僕も大盛りにしてみよ」 「珍しいな。食いきれるのか？」 「食ってみせよう、ホトトギス」 「なんじゃそりゃ」 「いいから食べよ」 「いただきます」 「いただきます」 「おー。うまいー。しみわたるー」 「やっぱり寒い日は豚汁だね」 「だな。今日のはなんかいつもよりうまいな」 「あ、わかった？ 先に炒めてから煮込んだんだ。コクがあるでしょ」 「うん、うまい」 「おひたしもどうぞ。出汁に胡麻油をちょっとだけ入れました」 「うん、うまい」 「浅漬けも工夫しました。だいだいの汁を使ってみたよ」 「うん、うまい」 「なんでもおいしそうに食べるよね」 「うん、お前の作る飯、好きだからな」 「ご飯だけ？」 「……飯、も好きだからな」 「他には、なに？」 「……」 「耳真っ赤だね。豚汁で暖まった？」 「……おかわり」 「はい」 「……オマエモスキダ」 「ふふふ」 「な、なんだよ」 「なんでもないよ。はい、熱いから気を付けて」 「おー」 「ボクモスキダヨ」 「……!!」 「あーあ。だから気を付けてっていったのに」 「おっ前、わざとやってるだろ！」 「なにが？」 「ニヤニヤするな！」 「ふふふ」