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第4話 幼馴染でブリティッシュな気分
「今日はローストビーフを作ります」
「うおおおおお! お前、そんなものが作れるのか!?」
「簡単だよ。お肉を焼くだけだもん。君にもできるよ」
「いや、うまいやつが食いたいから俺は遠慮しておきます」
「そう言うとは思ってました。じゃ、作り方ね。牛のもも肉を適量用意して塩と胡椒を擦りこんだら濡れ布巾で包んで一時間味をなじませます。この間に、付け合わせのヨークシャープディングを作るよ」
「ローストビーフにプリン?」
「小麦粉が入る昔ながらの甘くない方のプディングだよ。
材料は小麦粉125グラム、塩少々、卵2個、牛乳250ml。それとあとでローストビーフの焼汁を使うから、肉汁は捨てない事」
「一応、覚えとくよ。後学のために」
「では作ります。
小麦粉と塩を混ぜてボウルに入れ、中央に窪みを作ります。そこに溶いた卵と牛乳を半分くらい入れてダマにならないようになめらかになるように混ぜます。
残りの牛乳を大さじ1くらいずつ入れながら空気を入れるように混ぜていきます」
「とにかく、まぜろ、と」
「そう。ここで一旦ローストビーフに戻ります。フライパンに油を温め肉の表面に焼き色をつけます」
「うお。うまそうな匂い。もう食えるんじゃないか?」
「そりゃ食べられるけど、もう少しの我慢だよ。
お肉をオーブンに突っ込んじゃって、180度で30分焼きます。
で、今出た肉汁を、マフィンの型に入れて、さっき作ったヨークシャープディングの生地を流し込みます。大さじ1ずつくらいね。
これでマフィン型6個分くらいできるよ」
「なんか、難しくなってきたな」
「やってみたら簡単なんだけどね。
お肉が焼けたら焼き網なんかの上で休ませて、その間にヨークシャープディングを焼きます。200度で20分ね」
「なあ、この肉、冷めないうちに今食った方がうまいんじゃないか? うまいんじゃないか?」
「もう。しょうがないなあ。じゃ、味見に少し切ってあげるよ」
「……うまいです!」
「それは良かった。あとのは冷めてから食べようね。イギリス式に」
「イギリス式は冷たいんだ?」
「そうなんだって。このレシピも英国大使館のものだよ」
「おお。本格的。俺はシェパーズパイが食べたい」
「じゃあ、今度つくろう。さて、ヨークシャープディングが焼けたら薄く切ったお肉とクレソンなんかと一緒にお皿に盛りつけてグレービーソースをかけたら出来上がり」
「グレービーソースってなんだ?」
「肉汁のソースだよ。面倒になったから解説はしなかったけど。作るのは簡単。やってみる?」
「いや、俺は食べるだけでいい」
「うん。知ってた。じゃ、食べようか」
「いただきます」
「いただきます」
「肉、最強!」
「イギリス、万歳!」
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