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第35話 文化祭当日
文化祭の日まで、案外早く日が過ぎて行った。
文化祭の準備。習い事。予習復習。放課後に準備が入るだけでこんなに時間が無くなるかというほど早く過ぎた。
うちのクラスの迷路は、片付けに出したり仕舞ったりを繰り返した段ボールがあちこちべきべきに折れながらもきちんと壁の役割をこなしている。ペンキで色を塗ったりスプレーで絵を描いて彩られた壁が床のガムテープに沿って立てられている。
掃除の時間に机を移動させていたことで床に張っていたガムテープがはがれかけている部分もあったが、後から綺麗に張りなおした。
段ボールをコース通りに曲げたり、床に立つように繰り返し段ボールを教室に運んでシミュレーションしてようやく出来上がった迷路だ。
食べ物を販売するクラスはお金がいるが、迷路なので無料である。
途中で段ボールが折れて無茶苦茶になったりしないか見ている役が必要だが、文化祭委員がマストで見張りには参加するし、クラスのジャンケンで俺と風巻は見張り役を逃れた。
段ボールを見ている役はローテーションで回すらしいが、クラス全員で担うには人数が多すぎる。
俺と風巻は前日のHRで配られた文化祭のパンフレットを手に夏彦のクラスへと足を運ぶ。
「ジェットコースターってどんななんだろな」
「この学校天井が高いから案外絶叫系に仕上がってるかもな」
「え……」
ちょっと想像してしまい、声を無くす俺を見て風巻が笑う。
「お前、絶叫系駄目か」
「駄目じゃねーよ。ただちょっと危険じゃね?ってだけ」
「ふーん。ほーん」
「んだよ」
風巻の生暖かい視線を無視しながらパンフレットに目を通す。
焼きそば屋やフランクフルト屋がある。
お化け屋敷や射的、映えスポット展示などの定番の出し物がずらっと並んでいる。
「そういや部活も出し物するんだろ。漫研はなんかやんねーの」
「夏フェスで売った同人誌の余り販売すんだよ。一冊500円」
「高いの?安いの?」
「文化祭の売りもんにしちゃたけーよ。でも小規模サークルの発注数少ない同人誌なんてそんぐらい金かかるからしゃーねーよ」
「お前は販売員やらなくていいわけ」
「売り子はコスプレやってる奴が担当するから俺と古賀は部活の方は顔出す程度でいいんだよ。去年も一昨年もそうだったろうが」
「そうだっけ?」
なんで漫研なのにコスプレなんてする人間が存在するのかはよくわからないが、風巻の言うことにはコスプレと漫研は密接な関係にあるらしい。
たしかに売り子なのだから見た目は良い方が良いだろう。コスプレというのがどんなもんかは去年も一昨年も見ていないのでわからないが、なんとなく理にかなっているなと感じる。
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