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第36話 ジェットコースター
そうこうしているうちに夏彦のクラスに到着した。
ジェットコースターには既に先客がそぞろに並んでおり、クラスの人間はうちのような交代制で運営しているわけでもなさそうで人が沢山教室に残っている。
天上ほど高い所からではないが、思ったよりも長いジェットコースターが教室内にぐるりと組み立ててある。
階段を上って大きなプラスチックのソリのようなものの中に並んでいた人が座る。
横から男子生徒2人が「それでは行きます。3、2、1」とカウントして、ソリを押す。
フゥー!と歓声が上がり、ソリに乗った人が一気にジェットコースターを滑り降りていく。10秒も無い。たった数秒だが一気にゴール地点まで滑ったソリは木でできた滑り止めによって止まり、乗っていた人が「ウッ」と息を漏らした。
「ありがとうございました~!!」
夏彦のクラスメイト達が口々に挨拶を口にし、ジェットコースターに乗っていた人は照れたようにペコペコとお辞儀しながら去って行く。
「おう」
「風巻先輩、久世先輩」
俺達に気が付いた古賀がこちらに寄ってくる。
古賀の隣にいた夏彦もつられてこちらへ古賀と共にやってくる。
「どうすか?ジェットコースター。思ったよりスピード出てますよね!これ止まるとき一瞬体浮くんで結構怖いんですよ!もちろん命綱無しです!カーブのとことか結構マジで怖いですけど淵掴んでたら手が巻き込まれる可能性あるから体育座りで乗るんですよ。背もたれも無いし体幹の強さが試されますよ!」
相変わらず出合い頭にぺらぺらと喋ってくる古賀の言葉を聞き流しながら夏彦に俺は聞く。
「これ、お前らも乗ったの?」
「もちろんだ!試運転は何度も繰り返して安全性をテストしている。久世、お前も乗れ」
「……え?俺も乗るの?」
「俺達の力作だ!乗るに決まっているだろう!」
「風巻先輩も乗りますよね?」
古賀が風巻に了解を得ると風巻は俺を見て笑いながらジェットコースターの列に並ぶ。
「……マジで?俺ちょっと……」
「久世、お前後輩がせっかく丹精込めて作った出し物体験しなくちゃ古賀と天野が可哀想だろ。普段世話になってる先輩にわざわざ乗って欲しくて誘ってくれてんのにさ」
俺は風巻を睨むが、風巻がせせら笑う。
その間にも教室内はフゥー!と盛り上がり、ジェットコースターに乗った人たちが続々と滑り降りていく。
ジェットコースターの脇に集まったこのクラスの生徒たちがソリをスタート地点まで運んではそれに乗った人たちがジェットコースターを滑る。
そうこうしているうちに俺と風巻の番になった。
「……いや怖い!無理!俺には無理!」
「久世、大丈夫だ、案外一瞬だ」
夏彦が慰めにもならない言葉をかけながら俺を階段の上まで追いやる。
……終わった……。
マジで、怖すぎる。
どっかガタが来て組み立てた部分が外れて落ちるんじゃねえの。ていうかたとえ小規模でも安全バーも何もないのにジェットコースターなんか……などと考えていると「久世!早く座れ!」と夏彦からお𠮟りが飛んできた。
俺は仕方なくソリの中に体育座りして、待機する。
脇でソリを押す生徒たちが「じゃあ行きまーす。3、2、1」とカウントダウンし、俺の背中ごと一気に押した。
「あああああ!!!」
教室内に響く俺の絶叫。
またもやフゥー!!と盛り上がる教室内。
一気に滑り落ちたジェットコースターは終着点でゴン!と木の壁にぶち当たって止まった。
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