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第39話 祭りの終わり

「お、ここだな」 「おつかれーす」 「お疲れ様です」  夏彦が教室のプレートを見上げると、風巻と古賀が開けっ放しになっている扉を潜り抜けていく。  机が数個並べてあり、その上に薄い雑誌のようなものが積まれていて、椅子にはピンクや水色の髪をした女子や紫の髪をした男子が衣装を身に纏って座っている。  売り子は見た目が大事だといったものの、中々インパクトが強い。  風巻が紫の男子生徒に尋ねる。 「どうだ、売れてるか」 「まあ、ぼちぼちです。OGやOBの方が来てくださってますし。関係者じゃないお客さんにも数冊売れました」 「そりゃよかった。あ、客連れてきたぞ」  そう言って風巻は俺と夏彦を本の束の前に突き出した。 「こいつら一冊ずつ買うから」 「先輩……押し売りはちょっと……」  気の引けたような後輩に、風巻は何ら気にすることなく言い放つ。 「大丈夫。こいつら金持ちだから」 「そうなんですか?」 「まぁ……」  適当に濁す俺に、後輩の目の色が変わる。 「じゃ、一冊500円になります」 「身替わりがはえーな」  俺と夏彦は財布を取り出して一冊ずつ同人誌を買った。  文化祭が終わり、各自のクラスへ帰るとクラスメイト達が段ボールの片づけを行っていた。 「床のガムテープはがしたり、段ボールの廃棄とかはまた明日やるって」 「そうか。これ、手伝う」  段ボールを運んでいた女子からぶん取り、準備室へと移動させていく。  風巻も片付けの手伝いをしているようだった。  ちょっとした片付けも終わり、HR。 「天野と一緒の文化祭はどうだったよ」  風巻が俺に聞く。 「俺と夏彦にしちゃ3年に一回だけのイベントだからな。お前らもいたし、楽しかったよ」 「おっ、素直」 「るせ」  俺は風巻をシバいた。 「まあなんにせよ、楽しかったなら良かったろ。天野の写真もいっぱい撮れたことだし」 「見せねーぞ」 「いらねーよ」  夏彦の写真を見たくないだと。  こいつ、正気か。  俺の信じられないという目を見て笑いながら、風巻が俺に夏彦と古賀の写真をメッセージで送ってきた。  楽しんでいたのは、俺達だけじゃない。  写真から見るに、風巻も古賀も、4人で文化祭を回れたことが楽しかったと思ってくれているようだった。  3年に一回の、小さなイベント。  全力で取り組んで、ハイになって、楽しんで。  こんな時間が続けばいいのにと、思わんこともない。  夏彦も、風巻も古賀も。こうして笑顔で居てくれればいい。

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