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ホテルにて

 討伐後、カイラはホテルで横になり休んでいた。  『特に援護魔法の使い方が上手くなっている』  ヴェルトの言葉が頭の中で反芻(はんすう)する。 (僕も魔導士として少しずつ成長してるのかな……ヴェルトさんの為にも頑張らないと!)  と決意を新たにし、カイラは拳をグッと握った。  ドアが何度かノックされる音を聞いたカイラは、ベッドから起き上がり「どうぞ」と声をかける。  木製のドアが軋みながら開かれ、その向こうからヴェルトが現れた。  シャワーを浴びた為、やや濡れた銀髪をそのまま下ろしている。 「ヴェルトさん、どうしたんですか?」 「あれから2日経ったでしょ? そろそろ我慢できないんじゃないかと思って手伝いに来たんだよ」  それはつまり、カイラが性欲を発散させる為の手伝い。  カイラは自身の心臓がトクンと跳ねる音を聞いた。  落ち着いていたはずの欲望が疼き熱を帯びる。  扱いてほしい。  だが、先程彼の迷惑にならぬようにと5日は我慢すると決めたばかり。 「……そんなに何度もヴェルトさんの手を煩わせる訳には」  とカイラは少し目を逸らした。 「何言ってるのさ。子供は大人に頼るものだよ」  子供と呼ばれたカイラは頬を膨らませる。  カイラはヴェルトと対照的に小柄で華奢なので、実年齢よりも幼く見られやすい。  身長がダメならせめて筋肉を付けようと体を鍛えた時期もあったのだが、体質なのか一向に筋肉が付かなかったので諦めた。  その為、カイラにとって子供という言葉は地雷なのだ。 「子供じゃありません」 「いや子供だね。そうやって子供って言われただけでちょっと怒るのがまさに子供っぽい」 「う……」  ぐうの音も出ず、カイラはしょぼんと俯いた。 「本当はしたいでしょ? できる時にしておいた方がいいと思うけどなぁ、冒険者ってのは、いつ何があるか分からない職業だからね」  カチャリ。と貞操帯が緩む。 「あっ……!」  カイラは頬を紅潮させ下半身を押さえる。 「もしかして外れたかな? ほら、今のうちに」  貞操帯が外れた事により、更に射精への期待が高まる。  もう、抑えられなかった。 「じゃあ……お願いします」    ***  カイラは下半身のみ全て脱いだ状態で、股を広げてベッドに寝転がっている。  カイラの足の間に座ったヴェルトは、ピンと勃っている可愛らしい肉棒を見下ろしていた。 「うぅ……」  羞恥のあまりカイラは耳まで赤く染める。 「恥ずかしいかい?」  問いかけにカイラはコクリと頷く。 「かわ____」  何かを言いかけたヴェルトは咳払いをした。 「とりあえず始めるね。今回はちょっと焦らしながらゆっくりやってみよっかな」 「はい、お願いします……」  ……射精させてもらえる。  期待で鼓動が早まり、息が熱くなる。  ヴェルトの手が伸びて、カイラの精嚢を包み込む。 「ひぁ……!」 「2日だけで結構溜まってる感じがするね……これも呪いの効果か」  ヴェルトは優しい手つきでマッサージをし始める。  凝りを解されるような心地良さと、性欲が徐々に高められる感覚。  カイラは目を瞑り快感に身を委ねる。 「きもちいい、です」 「良かった。……ねぇカイラ君。自分で乳首弄ってもらっていい?」 「えっ」  ピクンと肉棒が跳ねる。 (ヴェルトさんの目の前で……っ!?) 「我慢してた間、ずっと自分で触ってたんだよね?」 「ど、どうして」  そんな事が分かるんですか? と問いかける。 「2日前に見た時、随分と腫れてたからさ。ずっと触ってたのかなって」 「……なんでも気付いてしまうんですね、ヴェルトさんって」 「観察眼は冒険者にとって必要なスキルだからね。……僕の場合、興味の無いことはすぐに忘れちゃうんだけど」  とヴェルトはヘラヘラと笑う。  ゆっくりとシャツの中へ手を伸ばし自らの手で蕾を虐める。 「んぅ……♡」  30日に渡る禁欲中に開発してしまった蕾がじんじんと熱くなる。  それに伴い既に天を仰いでいた肉棒が更に煮え滾る。  触って。触って。とヴェルトを誘うかのように、鈴口から先走りを滴らせた。 「本当に感じてるんだね」 「ヴェルトさん……! 早くっ、扱いてください♡」 「うーん、もうちょっと。気持ち良く射精できるよう頑張ろうね」  と焦らす彼は少し楽しそうで。 「そんなぁ……」  ただカイラはヴェルトの気が済むまで射精を我慢する事しかできなかった。    ***  それからしばらく経った。  カイラの屹立は痛みを感じる程に張り詰めており、今にも爆発してしまいそうだ。 「もうげんかいですっ♡ ヴェルトさん……切ないよぉ……♡」  と情けなく腰を振り、肉棒に触ってとアピールするカイラ。  ヴェルトは「よく我慢したね、偉いよ」と興奮でやや紅潮した顔で微笑んだ。  そして、健気に勃ち続けていたカイラの肉茎を握る。 「んん……♡」  上下にゆっくり擦られる快感が凄まじく、カイラは熱の籠った目を天井に向ける。  半開きになった口の端から涎が垂れて頬を伝う。  シーツを両手でギュッと握って快感に耐える。 「あっ、やぁぁっ♡」 「やっぱり、ここ弱いんだ」 「ふぇ……?」 「この前した時、裏筋を触ったら気持ちよさそうにしてたからさ。ここを触られるの好きなんだろうなって」  それとさ。とヴェルトは続けながら刺激する場所を変える。 「はぁっ、あ……んんんぅっ♡」  手で輪を作り、陰茎のくびれを何度も往復するよう刺激する。 「ここも好きだろう?」 「あっ♡ すき♡ すき、です♡」  カイラは無意識のうちにヘコヘコと腰を動かしてしまう。 「あっ、嘘……おっ♡ も、出ます、出ますぅっ♡」  本格的な刺激が始まってから数分も経っていないのに、精が登ってくる感覚を覚えたカイラはそう宣言した。  「良いよ」と許可が出たのとほとんど同時に、カイラは身を震わせながらザーメンを噴き上げる。  じっくりと焦らされたからか、1回の射精にしては量が多い。 「はぁっ、はぁ……はぁ……♡」 「ちゃんと出せたね。偉いよ、カイラ君」  と頭を撫でてくれる彼の手が優しくて。  射精後の心地良い疲労感に身を任せていると、棚の上に置いていたはずの戒めがカイラに向かって飛んで来て、たちまちカイラに取り付いた。 「厄介だね、この呪いは……」  カイラの淫らな姿を目の当たりにしたヴェルトは、張り詰める自身の欲望を抑えようとする。  だが、ソレは一向に収まる気配が無く、次第に意識が目の前で仰臥する少年に向けられる。  犯したい。  柔らかな肌も、唇も。何もかも奪ってやりたい。  あぁ……自分らしくない。  いつもの自分ならば本能のまま彼を組み敷いただろう。  男と性交はした事が無いが、小動物のように可愛らしいカイラとならできそうな気がするのだ。  それでも自分は欲望を抑え込もうとしている。  彼は簡単に汚してはいけないと思ったから。 「ヴェルトさん……」 「ん? なに?」  自分の想いを悟られないよう、ヴェルトは「優しいお兄さん」を演じる。 「ありがとうございました……♡」  汗ばみ疲れ切った体。  とろんとしたエメラルドの瞳。  貞操帯の排尿用の穴からとろりと流れる精液の残り。  頬を紅潮させ微笑する彼の可憐さ。  ヴェルトは理性を手放しかけたがなんとか堪えて「いいんだよ」とだけ返した。  

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