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蛇に睨まれたカエル
「~~ッ!」
カイラを見下ろすヴェルトの目は、まるで蛇のようであった。
カイラという名のカエルを見つけた、腹を空かせた蛇の如き目。
カチャリ……と、貞操帯が音を立てて緩む。
ヴェルトはカイラの首筋に口を寄せ、舌を這わせた。
「ん……♡」
ちょっとした愛撫すらも情熱的で、カイラは小さく鳴いた。
「この12日間、大変だったよ」
カイラの頬を撫で目を見つめながら、ヴェルトは話し続ける。
「ふとした事で勃つし、ずっと体は火照るし、あまり眠れてない」
カイラが着ていたシャツのボタンを慣れた手つきで外してゆく。
「最低だったよ。どれほど自分で慰めても全く出なかったし、次第に無駄だって分かってても、ずっと疼き続けるから無意識のうちに触るようになってしまう」
「君も経験しただろうけど」とヴェルトは露わになったカイラの胸に触れる。
「んぅ……♡」
「はぁ……前戯だけで凄くドキドキするよ……こんな気持ちになったのは初めての時以来だ」
彼の指が双丘の頂点に触れる。
「ふぁっ♡」
カイラはビクンと体を震わせた。
「相変わらず自分で触ってたのかな? ……あぁ、君といるのも大変だったよ。夢魔の呪いのうちに、『周りの人間の性欲を高める』なんて厄介なモノがあったからさ」
ヴェルトはカイラの頂を撫で、摘み、弄ぶ。
カイラは身を捩り、ただキャンキャン鳴き続ける。
「君といるだけで邪な考えが浮かぶ。君を|手籠《てごめ》にして、ずっと僕の事しか考えられないようにしてやりたい……僕の声を聞くだけで欲情して、手を繋ぐだけで……いや、これ以上は気持ち悪いからやめておくよ」
カイラは熱い息を吐き、枕に顔を埋めながら快感に耐える。
「あはは……枕は没収。君の可愛い顔が見られなくなる」
とヴェルトはカイラから枕を取り上げ床に放り投げた。
「ずっと……いや、それは流石に我儘すぎるかな?」
ヴェルトはカイラの両手を拘束するように手を繋ぎ、指を絡める。
「今だけは、僕の事だけ見ていてよ」
紫の視線が絡み付く。
「あぁ、どうしちゃったんだろうなぁ、僕……君の事が欲しくて欲しくて堪らない。……この感情は、ただの性欲だと良いなぁ。僕みたいな奴に一生付き纏われるほどの不幸は無いからね」
ヴェルトから手を離され、カイラは少々寂しさを感じたが、それも一瞬だけ。
「あっ、やぁっ……!」
下着を脱がされカイラは、もともと赤くなっていた頬を更に染めた。
ヴェルトの前で、既に蜜で濡れた屹立を露わにしてしまう。
「濡れやすい体質なんだね」
「わかんないっ♡ 人と比べた事無いからわかんないですっ♡」
「貞操帯は邪魔だからそこらへんに置いておこうね」と、ヴェルトは立ち上がり外れていた貞操帯を棚に置いた。
そして、ヴェルトもようやく衣服を脱ぎ始める。
鋼のようにしなやかな体。剣士として修行を積んでいた証が痛々しく白い肌に刻まれている。
「……マズイな、話し続けてないと本当に気が狂う。あははっ、こう見えてかなりギリギリなんだよ」
ヘラヘラと笑ってはいるものの、その|双眸《そうぼう》はギラギラと輝いている。
食べられてしまう。と本能的に感じたカイラは身を震わせたが、その場から動こうとしない。
やがてヴェルトの下半身も露わになり、カイラはソレに目を奪われる。
温厚な性格とは裏腹に、彼の肉棒は凶器のようだ。
やや浅黒く、先端はやや赤みを帯びている。天を|穿《うが》つようにそそり立つ根元には、禁欲のせいで張り詰めた精嚢がぶら下がっている。
相当経験もあるのだろう。使い込まれているのが、経験が全くないカイラにも分かった。
(……僕はアレをどうすれば良いのだろう)
彼がしてくれたように、手で包み込めば良いのだろうか。
それとも口いっぱいに頬張れば良いのだろうか。
まさか……全く解されていない部分で飲み込み、童貞よりも先に処女を失えと言うのか?
そのような心配を見透かしたのか、ヴェルトはカイラの頭を撫でた。
相変わらず、その手つきだけは父親や兄のように優しい。
ベッドの上に座ったヴェルトは「こっちへおいでカイラ君」と手招きする。
カイラは素直に彼の目の前に座った。
「もっとこっちへ。僕の上に座って良いから」
とヴェルトはカイラを抱擁し、更にカイラを自分の側へ寄らせた。
向かい合う2人は互いの目を見る。
ヴェルトはカイラの手を取り、互いの指を組むように絡ませた。
剣士として鍛えられた硬い手と、魔導士としての能力しか磨かなかった柔らかな手が重なり合う。
互いの心臓が更に高鳴り始める。
「僕もこんな事するの初めてだからさ。もし痛かったり怖くなったりしたらすぐに言ってね。……止められるかどうかは分からない。多分、止められない。先に謝っておくね。ごめんよカイラ君」
ヴェルトは自身の欲望をカイラの欲望に押し付ける。
「わっ♡ わっ♡」
初めての感覚に軽くパニックを起こすカイラ。
大きさも。
硬さも。
経験も。
全てがヴェルトに劣っているのだと思い知らされ、カイラは男としての屈辱を味わうと共に、更に興奮し先走りを滴らせた。
「……なんか変な感じだね」
ヴェルトはカイラの耳元で囁く。
「でも凄く興奮する」
ヴェルトはカイラと絡ませた手を下ろす。
「カイラ君は軽く握ってくれるだけで良いからね」
絡ませた手を、重なる2本の肉棒へ。
「何だっけ……まさか自分がやると思ってなかったからな、ええと……そう、『兜合わせ』ってやつだよ」
「動かすよ」とヴェルトは手をゆっくりと動かし始める。
「あっ♡ んぅ……♡」
2人で2人の欲望を満たしてゆく。
「カイラ君の手で触ってもらうの初めてだなぁ……柔らかくてあったかくて気持ち良い」
カイラはヴェルトの胸に顔を埋めた。
うー……とヴェルトは唸りながらカイラの背に空いた手を回す。
「こんなに我慢した事無かったからさ、凄く敏感になってる……ずっとこうしていたいけど、すぐ終わるかも」
「カイラ君」とヴェルトに呼ばれ、カイラは顔を上げる。
少女と見間違うほど中性的な顔を見て、ヴェルトは「可愛いよ」と微笑み、滾る肉棒を更に押し付けながら首筋にむしゃぶりつく。
手を動かすスピードも早めてゆく。
「はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ……♡」
カイラは快楽に思考を支配されたかのように、甘い吐息を吐き続ける。
「気持ちよさそうだね……もっと気持ち良くしてあげようか?」
カイラの背に回していた手を、彼の胸へ。
「んぅ~~♡♡」
肉棒と、首筋と、胸の蕾。
3点を同時に責められたカイラは悶絶する。
「あぁ……カイラ君……カイラ君、カイラ君……」
もう限界が近いらしく、ヴェルトの声が更に熱を帯びる。
互いに互いの欲望を押し付け、擦り合う。
「カイラ……ッ!」
「ヴェルト♡ さん、っ♡……ぼッ♡ 僕もう……っ♡」
「僕もだよ、カイラ……一緒に、イこうか」
カイラは何度も頷いた。
そして……
「あっ♡ 出っ、出ますッ♡♡」
「カイ、ラ……ッ!」
2人はほとんど同時に達した。
互いの欲望が脈打つのを感じながら、2人は抱き合っていた。
2人の精が混じり合う。
互いの肉棒を互いの精で汚してゆく。
落ち着いた頃、2人は顔を見合わせた。
「ねぇ、カイラ君」
「なんでしょう……?」
「嫌だったら、引っ叩いてほしい」
「えっ」
ヴェルトの顔が近付く。
彼が何をしようとしているのかを察し動揺したが……
カイラは拒む事なく目を瞑った。
ヴェルトはそのような彼の柔らかな頬を撫で、艶やかな唇にキスを落としたのだ。
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