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5日目〜カイラの気持ち〜
(体が軽い……射精できたからかな)
深夜。カイラは眠りについたヴェルトの頬を撫でながら心の中で呟いた。
(ヴェルトさん、可哀想に……酷い目に遭ったんだ)
リードを握られるのが嫌いと言っていた彼が、無理やり何者かに犯されたのだ。
(まぁ、僕もやったけど……それは仕返しだから!)
自分の事を棚に上げて、カイラは犯人像を思い浮かべる。
(まぁ、ミキだろうな……それ以外に思い当たる人いないもんな)
「どの魔法がかけられたか」までは調べたものの、「誰の魔法か」までは調べられなかったのだ。
その為、ミキが関わっているとはいえ……ガゼリオが犯人であるという事など、カイラには想像すらできないのだ。
そもそもカイラは、ヴェルトとガゼリオが友人である事すら知らないのだから。
(ごめんなさい。ヴェルトさん)
今すぐにでも離れた方が良いのだろう。
このまま部屋を出て行って、誰も知らない場所へ。
(でもそうしたらきっとヴェルトさんは……ずっと僕を探し続けるんだろうな)
簡単に想像できるのだ。
カイラがいないと知った途端に錯乱し、街を駆けてカイラを探し続ける彼の姿が。
何も言わずに離れるという無責任な事は、カイラにはとてもできなかった。
(だからこそ、僕はもっと強くならなきゃ)
自分には魔法という強力な武器がある。
それを更に磨き、強い魔導士にならなければ。
そうしなければミキは倒せないし、ヴェルトを護れない。
(よし、頑張らなくちゃ!)
と心の中でガッツポーズをしたカイラであった。
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