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一方ガゼリオは…

 ホクホク顔のガゼリオが、購入した小説を手に自分の部屋に入った。  ガゼリオが好きな小説のジャンルは空想科学小説……つまりSFだ。  魔法とはまた違う不思議な世界に心を囚われ、気になる作品が出るたびにこうして購読しているのだった。  ガゼリオは椅子に腰掛け小説を開き読み始める。  そしてしばらくして……本を閉じた。  恐らく、次に開くのはくだらない禁欲期間が終わってからになるだろう。  唐突に官能的なシーンが挿入されていたからだ。  ガゼリオは溜息を吐きベッドに身を横たえる。 「官能小説でもねーくせに何でそういうシーン入れるかね。やっぱ小説家ってヘンタイだわ」  とんでもない暴言を吐くガゼリオは、自身の下半身が熱を帯びるのを感じて頭を掻く。 「クソ……いつもこんな風にはならねーのに」  夢魔にかけられた呪いのせいで、体が常に性的な刺激を求め続ける。  だが……悲しいかな。ガゼリオは自分自身で欲を解消する事ができない。  唯一、体を慰める事ができる方法は……元生徒であるカイラと性行為に及ぶ事。  もちろんそのような事、教育者の端くれであるガゼリオの矜持が許さない。  ガゼリオは再び「クソ!」と吐き捨てふて寝する事にした。

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