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一方ガゼリオは…
ここは魔法学校の職員室。
1人の男が授業用の資料を作成しながら、隣の席にいるガゼリオの様子をチラチラと伺っていた。
男の名前はレオ。魔法の力で身体能力を高める強化魔法と呼ばれる魔法を主に教える先生で、ガゼリオとは同期である。
無造作なアッシュグレイの髪に切長の目。やや人相が悪く怖い印象だが、髪と同色の瞳には優しい光が宿っている。
強化魔法の使い手である為、魔法使いであるにも関わらずそれなりに体を鍛えているようだ。
(なんか……最近のガゼリオ先生色っぽいな)
授業用の資料とにらめっこしているガゼリオ。窓から差し込む柔らかな日に照らされて、魔力で変色した髪が鮮やかに光る。
時折足を組み替えたり、何か考え事をしている。
そしてたまに聞こえる溜息がこれ以上なくセクシーで、思わずレオは赤面してしまう。
(……いや、いかんいかん。ガゼリオにこんな感情を抱くなんてどうかしている。そもそもガゼリオは男なんて好きじゃないだろうし)
資料から目を離しコーヒー片手に窓の外を眺めているガゼリオ。
済ました顔をしているが……
(射精してぇ……)
ずっと射精の事で頭がいっぱいなのだ。
足を組み替えると貞操帯が微妙に揺れて、囚われたままの肉棒がほんの少しだけ気持ち良いので、バレぬよう気を付けながら定期的に足を組み替える。
分かっていた事だが、日を追うごとに下半身の疼きが増している。
毎朝のように朝勃ちするがどうしようもできないので最悪な気分になる。
仕事中でさえ頭の中がピンク一色になってしまい、すぐに檻いっぱいに欲望を膨らませてしまう。
酷い時にはムスコをパンパンにさせながら教壇に立つ事もある。
夜になりようやく1人になると、ついつい貞操帯の上から性器を触ってしまう。
布団に入るのと同時に1、2時間かけて自分を慰め、眠りにつく。
そのような生活をずっと続けていたのだ。
(うっ……ずっと金玉が疼いて……っ!)
カウパー線液の流れを感じ、ガゼリオはズボンに染みができないか不安になる。
……なんで俺がこんな目に遭わなきゃならないんだ。
ヴェルトに乱暴を働いた報いならば甘んじて受け入れるつもりだが、これは決して罰ではない。
忌々しい事に転がされているだけ。
姿も分からぬ夢魔の手のひらの上で……
ガゼリオは苛立たしくなり頭を抱えて小さく呻く。
「ガゼリオ先生?」
不安気に呼びかける声に我に帰り、ガゼリオは顔を横へ向ける。
「あぁ、いや。すみません」
邪念を振り払うように仕事をし始めたガゼリオの事が心配になり、レオは提案する。
「ガゼリオ先生。急ですけど、今日飲みに行きません?」
ガゼリオが家にいるより外にいる方を好む男だという事を知っているレオ。
仕事仲間として、同期として。ガゼリオが何か抱えているのならば、話だけでも聞いてあげたいと思った。
「良いですよ」
とにかく酒に溺れてしまいたい。
何もかも忘れてしまえるように。
そのような思いからガゼリオはすぐに承諾した。
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