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帰宅
ライブと食事と買い物をゆっくりと終えたダーティは、宿泊している部屋の扉を開いた。
「あっ♡ ダーティ……♡」
ベッドの上に広がる光景にダーティは思わず生唾を呑む。
振り乱した黒髪。
とろけ切って、薄らと涙すら浮かべている双眸。
汗ばんだ強靭な肉体。
檻に囚われた肉茎からは蜜が滴る。
何度も精や潮を漏らしたのが、腰に敷かれたバスタオルから容易に見て取れる。
「おかえり……」
愛しい主人が無事に帰って来た事と、ようやく拷問が終わるという安堵感から、ディックは頬を紅潮させながらダーティの顔を見上げた。
ダーティは面白そうに鼻を鳴らし、コートのポケットに忍ばせていたスイッチを操作する。
「あっ♡ あぁ……む、り……くるし……っ」
流石に疲れたらしい。黒ネコはディルドの微かな駆動音にすら負ける善がり声を上げる。
早々にスイッチを切ってやると、ディックは再び体を弛緩させ甘い呼吸を繰り返し始める。
「随分と楽しんでくれたようだ。さぁ、今抜いてやるから____」
ゆっくりと屹立をディックの後孔から抜き、
「なっ!」
乱暴に最奥を突いた。
「ん゛ぅゔっ♡♡♡」
ディックはより大きい声を漏らし、雌としての器官と変貌した部分から潮を噴き出し主人の手を濡らす。
ダーティは心底楽しそうな表情を浮かべ乾いた笑い声を上げる。
「ダーティ……ッ!」
ディックは顔を真っ赤にして目を釣り上げるが、怒ってはいないようだ。
「ハハッ、悪かったよ。今度こそやめてやるからな」
とダーティは屹立をゆっくりと全て抜いてやった。
腹の異物感が無くなり、ディックはようやく一息吐いた。
「数時間良く頑張ったな、ラブ」
拘束を外し簡単にディックの体をタオルで拭いてやり、腰の下に敷いていたバスタオルを回収する。そして毛布をかけて彼の体を隠してやった。
「少し休んでろ。落ち着いたら風呂に入れてやるからな」
「ん」
先程まで大の字に固定されて強張っていた四肢をゆっくりと縮こませ、横向けに寝転がりダーティの横顔を眺める。
彼は洗面台で手を洗った後、椅子に腰掛けライブで得た投げ銭をジャラジャラ音を立てながら机に広げた。
「ダーティ。危険な目に遭ってねえだろうな」
ダーティは鼻で笑った。
「心配性め。大丈夫だよ、大通りの治安はそれほど悪くないと、レザー出身のお前なら良く分かっているだろう」
「アンタは危なっかしいんだよ。有名になってきたから金持ってんのもバレてるし、体は細えし、それに一興なんて余計な事を____」
紙幣を銀行員の如く手際良く数え始めたダーティを邪魔しないようにディックは口を噤んだ。
それから硬貨も数え終わったダーティは「うん、まぁまぁだな」と口角を上げた。
「レザーホールでの公演も近い。それが終わったら、そろそろ次の街へ行こうか」
「次は……確か、北地方だったか」
「そうだ」とダーティは頷く。
レザーがある東地方は温暖な気候だが、北地方は寒冷な気候で有名だ。
「移動は?」
「船……と言いたいところだが、生憎今年は思っていたより早く港が凍りそうでね。馬車でゆっくりと陸を進む予定だ」
微笑んだ後ダーティは「あぁ」と感嘆の声を上げる。
「北地方のシチューが懐かしい。チーズも絶品でね、ワインと合わせると最高なんだ」
「そうかよ」
食事の話に興味無さそうにディックは返した。
「それに……私の故郷でもある」
「実家に帰るのか?」
「顔は出さなければならないだろうな。あぁ……故郷は好きだが、少々億劫だな」
ダーティは投げ銭を片付けてベッドに腰掛け、ディックの顔を見下ろす。
「なんだよ」
「いや? 相変わらず綺麗な顔をしていると思って」
とダーティはディックに優しい口付けを落とす。
「アンタに言われると嫌味にしか聞こえねえ」
「本心さ。……さて、そろそろ落ち着いたか?」
「一応は」とディックは頷きベッドからのそのそと起き上がる。
「風呂に入れてやろうか。貞操具の中も洗わなければ」
「……あの」
「なんだ?」
「いつも言ってるが、なるだけ優しく洗ってくれねえか? ……そうしてもらわねえと勃つ」
「さぁ? どうしようかな」
「ダーティ……!」
ニヤニヤ笑うダーティの名を、懇願の意が籠った声で呼ぶディック。
「ほら、とっとと入れ。主人の手を煩わせるんじゃない」
やや乱暴なダーティの手に押されるがまま、ディックは浴室に押し込められた。
そして……その後しばらく夢魔の甘くて苦い声が響いたという。
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