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一方ガゼリオは…
レオの家に到着した途端、ガゼリオは玄関に座り込んでしまった。
酔っているのではない。具合が悪い訳でもない。
今朝見た夢……自分がカイラを手籠にする夢が頭から離れないのだ。ただの夢のはずなのに封じられたままの欲望が酷く疼き、体が言う事を聞いてくれない。
「ガゼリオ、大丈夫か」
レオはガゼリオに手を伸ばす。
「……悪い」
ガゼリオは素直にレオの手を取りゆっくりと立ち上がった。
立ち上がったガゼリオを、レオはその場で抱き締めた。
「あ……!」
全身の快楽を司る神経が剥き出しになってしまったようだ。大きな彼に抱き締められただけで全細胞が麻痺し、とろけてしまう。
そのようなガゼリオをひょいと抱き上げ、部屋のベッドへ降ろした。
期待と情欲でとろんとした瞳。
自分と比べ控えめな体が、まるで女のよう。
それでもシャツから覗く喉仏や筋張った手から、目の前で仰臥 するのが男だというのが容易に見て取れる。
レオは思わず生唾を呑み込んだ。
「……あのさ」
ガゼリオを見下ろしながらレオは悩ましげに呟く。
「俺、我慢させるのが好きっていうフェチ無かったんだけど……どうしよう、この歳で性癖捻じ曲がるかもしれねー」
ガゼリオの隣に寝転がり、レオは彼を更に強く抱き締め口付けを交わし合う。
レオの愛が毒のようにガゼリオの体内を巡る。
「……なぁ、ガゼリオ」
ガゼリオの衣服を脱がせながらレオは話し始めた。
「……あ?」
「ガゼリオってさ。俺以外に好きな奴がいるんだよな」
「……そう、だな」
「俺にしなよ」
「…………」
レオのあまりにも真っ直ぐな言葉にガゼリオは口を噤んでしまう。
「俺さ。やっぱガゼリオの事好きだ。先生として働いてる時はめっちゃカッコ良いのに、俺と一緒にいる時はめっちゃ可愛いの大好きだ」
ガゼリオを組み敷きたい欲求を必死に堪える。
「その人、ガゼリオの事は気にしてないんだろ? 俺もそういう経験あるから分かるんだけど、そーゆー時、その人と付き合えたとしても、あまり長く続かない」
あくまで俺の経験だけどな。とレオは更に続ける。
「だからさガゼリオ、俺にしときなよ。ガゼリオの好きな人とは全く別のタイプかもしれねーけど……でもさ、俺、その人よりはガゼリオの事大切にできる自信はある!」
「その自信はどっから出てくるんだよ」
「腹から。ほれ、触ってみ?」
とレオはガゼリオの手を取り自分の腹へ。
板チョコと形容するのが最も相応しい腹筋。ガゼリオの手をぎゅっと腹に押し付け「どう? どう?」と無邪気に訊ねる。
「お前ただ腹筋自慢したいだけじゃねーか!」
「バレた?」
イタズラを見事成功させた子供のように笑い、レオはガゼリオの下半身に両手を伸ばす。
一方の手で肉茎を金属越しに慰め、もう一方の手で窄まりを虐める。
「……っ、う……!」
ガゼリオの表情が劣情で歪む。それすら愛おしく、レオは微笑んだ。
「あ~~……でも、チンコ勃つと痛いか?」
更に熱を帯び始めた檻をガチャガチャ音を立てさせながら触れるレオ。
「いや……このまま、触ってて欲しい……あっ、ちょっ……!」
排泄用として開けられた穴から直接陰茎を刺激され、ガゼリオはいつも以上に淫れ始めた。
「うわ、すげー濡れてる。うわぁエッロ……もう限界まで感度上がってるだろうし、このまま触り続けてたらイけるんじゃね?」
「あ……? ど、どうなんだろ……?」
後孔から指を抜き、空いた手でガゼリオの睾丸を優しく包み込む。
「自分でやるのがダメなんだろ? なら俺がやればもしかしたら射精できるかもしれねー」
「あ……♡ んっ……♡」
雄としての快感にガゼリオは無意識に腰を小刻みに振ってしまう。
頭も良く、魔法の才に溢れ、養子とはいえ高名な魔法研究家の子供であるガゼリオ。完全無欠とも言える彼が、自分の手で感じ、鳴いている。
体の底から得体の知れない劣情が湧き、レオは自身の欲望を強張らせながらガゼリオの耳元で囁く。
「ほら、イけ」
「……っ、あ……♡」
「チンコ勃たないままオスイキしちまえ。貞操帯 ん中ガチガチにさせて、溜めに溜めたザーメン出しちまえ」
「この……やろ……!」
ガゼリオは負けじとレオの強張りをズボンから引っ張り出し、上下に擦り刺激し始めた。
「お前だけ……気持ち良さそうに勃起しやがって……! 俺も勃起して射精したいのに……! いつも以上にガチガチにさせやがってコイツ……!!」
互いに互いの欲望を慰め、2人は更に淫れてゆく。
「俺の手もガゼリオの我慢汁で濡れてきた。もう限界だろ? 楽になっちまえ」
「お前こそ。もう亀頭パンパンじゃねーか、ただデカいだけの童貞が」
「でももう数日で童貞とはオサラバだもんね! ……いっぱい我慢したガゼリオの体、コレで満足させてやるから」
「ハッ! ……そうかよ」
しばらく雄としての快楽に共に身を投じていた2人。そして先に気を逸したのは……
「ガゼリオ……ッ」
ガゼリオはベッド脇に置かれていた紙の束から取った数枚の紙をレオの強張りの頭部へ当てがった。
「ごめ……イく……ッ!」
ガゼリオの手の中で、レオの肉棒が跳ねた。
紙越しに熱を感じ、ガゼリオは自身の雄の勲章を切なく疼かせながら辛そうに顔を歪める。
絶頂の波が収まった頃、ガゼリオは起き上がりレオの下半身へ顔を近付ける。そして未だ強張っているレオの肉茎を咥え、ストローから飲み物を吸うように、尿道に残っている精を吸い出し始めた。
「……っ」
ガゼリオより後に刺激されたのに、ガゼリオより先に気を逸してしまった事を申し訳無く思い、レオは唸った。
「やっぱりさ……全体扱かねーとイけないのか?」
「当然だろ」
ガゼリオは白濁を飲み込んでから話し始めた。
「でも……すげー気持ち良かった」
「先端だけでめちゃくちゃ淫れてたもんな。数日後、全体扱いたらどんなに気持ち良いだろうな? 空気に触れただけでイくんじゃね?」
「……かもな」
なぁ。とガゼリオは呼びかけながらレオに覆い被さった。
「俺、やっぱまだオスイキできないからさ……代わりにメスイキさせて欲しい」
強請るガゼリオにレオは微笑みかける。
「分かった。いっぱいメスイキしような」
***
その日の深夜。ガゼリオは自分の部屋で自慰をしていた。
いつも『泊まっていけばいいのに』と、まるでお留守番させられる前の犬のような表情を浮かべるレオに引き止められるのだが、そうすると後々養父から何をされるのか分かったものではない。
ただでさえ養父から『最近外出が多すぎる』と文句を言われ、禁断の遊びの回数も増えているのだ。
「あぁ……クソ、やっぱイけねぇ……!」
貞操帯に開けられた穴から、指の付け根まで密で濡れるほど己の肉茎を長く刺激し続けてもなお、一向に射精する気配が無い。
もう我慢できない。
四六時中射精の事で頭がいっぱいで仕事に集中できない。
イきたい。
射精できないと分かっていても自慰がやめられない。
ずっと欲望が滾り、なかなか眠りにつけない。
射精したい。
最近は何もせずとも我慢の証が溢れるので、ズボンに染みができないか不安で仕方ない。
卒業アルバムに写っていたカイラの顔を見ただけで貞操帯の中をいっぱいにしてしまった事が情けない。
射精したい、射精したい、射精したい。
「~~~~ッッ!」
ベッドの上で四つん這いになり、腰を振る。勃たないモノで空 を突く。
カイラを襲えば勃起も射精もできるが、それはカイラの心身を傷付け教師としての自分を否定する事だ。
しかし襲わなければ自分の浅ましい写真をヴェルトとカイラに知られてしまう事になる。
どっちにしろ最悪だ。
「~~~~ッッ!!」
これからの事と疼き続ける体に、ガゼリオは声にならぬ声をあげてしまう。
(射精したい! チンコ触りたい! セックスしたい! 今射精したら絶対気持ち良いのに……!!)
カリカリカリカリカリカリカリカリ!!
仰向けになったガゼリオは足を広げながら貞操帯を掻きむしる。
カリカリカリカリカリカリカリカリ!!
右手の爪がボロボロになり、疲れ果てるまでガゼリオは貞操帯を掻きむしった。
「……やっぱダメか」
ガゼリオ邸の屋根の上で胡座を掻きながら、ミキは溜息を付いた。
カイラとガゼリオが見た夢……2人が性行為をするという夢は、このミキが夢魔の力で見せたものである。
「あそこで射精してりゃ、現実でも射精させるつもりだったのにな……なーんて」
ガゼリオの精神力が想像以上に強固なのだと思い知ったミキは、数枚の写真を手に取り艶やかな笑みを浮かべた。
これらはガゼリオに夢魔の呪いをかけてからの、彼と養父の禁断の遊びの光景を盗撮したものである。
そのほとんどが、相変わらず養父の趣味で身に付けさせられているらしい女性用下着姿のガゼリオが、苦しそうに養父の邪な欲望を咥えさせられている場面だ。
貞操帯の上からショーツを穿かされている為、不自然な盛り上がりができて何とも無様である。
「諦めて今のうちにどの写真送りつけるか決めるかなぁ。もしくはぜーんぶ送ってやろうかなぁ?」
悪魔の笑みを浮かべながら、ミキは無数のコウモリに包まれ星空へと消えた。
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