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早朝
翌朝の事。
「おはよう」
リビングに現れたヴェルトは、先に起きて掃除をしていたクマに声をかけた。
「……オハヨ」
不機嫌そうに顔を歪めながらも、クマはホウキを片手に挨拶し返した。
「カイラ君はまだ寝てるよ。起こさないでそのままにしておいてあげて。それと、シーツ交換して寝室の前に置いといたから洗っておいて。昨日カイラ君が粗相しちゃったからさ」
「……クマ、やっぱりオマエの事好きくないよ」
「だろうね。アレで分かっただろ? カイラ君はもう僕のなんだよ、君みたいな毛むくじゃらには入る余地が無いんだよ」
「ん゛あ゛あ゛!」
「分かったらさっさと掃除し始めなよ、負けネズミ」
その時、扉がゆっくりと開いて寝巻き姿のカイラが現れた。どこか恥じらうような表情をしていたが、クマを見た途端優しげに微笑んだ。
「クマちゃん、おはよう」
「カイラきゅん♡、オハヨ! オハヨ!」
クマはトテトテとカイラに近寄り、2人は軽いハグを交わした。
「朝ごはんもう用意してるからね♡ 温めて食べようねえ」
「うん、ありがとう」
「カイラ君、おはよう」
「あ……ヴェルトさん、おはようございます」
カイラはクマを離しヴェルトとハグを交わす。可愛らしいカイラの額にヴェルトは口付けを落とした。
「カイラきゅん♡ クマも♡ クマもカイラきゅんとチューしたい♡」
「ダメに決まってるだろ。さ、朝ごはんにしようね。さっさと用意してくれるかい?」
「……ふーん!」
ヴェルトの態度にクマは苛立たしげにキッチンへ歩いて行った。
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