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01.新規配属

 単純に――俺は金に困っていた。  普通に月給もらってるし、割とホワイトなうちの会社は残業すればしただけ残業代は出てくれる。  だけど副業は禁止だから、それ以上の収入を望める手段はなかった。  多分俺はバカなのだと思う。  それなりにいい大学を出て、それなりに有名な企業に就職することはできたが、勉強のできるバカってやつだったのかも知れない。  俺は金に困り、少ない元手をFXで全部溶かした。素人があんなのに手を出すもんじゃないって、分かっていたはずなのに……。  そのあと俺は賭け事にまで手を出して、気づけばカードの支払いも滞る毎日。キャッシングにキャッシングを重ねて、負債はちょっと痛い額……。  まだ200万くらい……ちょっと高い車買っちゃった……くらいの金額ではあるけれど、社会人2年目貯金なしの俺においそれと返せる金額ではなかった。  そんな折、『接待部』の募集が開始されたのだ。『接待部』の募集は社内ポータルサイトで告知され、応募は上司経由ではなく個々からの直接申請だった。  社内に『接待部』と呼ばれる特殊な部署が存在しているという噂は、まことしやかに囁かれていた。  曰く、その怪しげな部署は出向制で各部から必要に応じで人員を集められるチームのようなもので、その実態は会社公認の『枕営業』を遂行する部署……なんてとんでもない噂も流れていた。  そんなセクハラどころの騒ぎじゃない業務を、会社公認で行われるはずはない。誰だってそんな話を聞いたら、笑ってしまうのが普通だろう。  俺だってそうだった。万が一そんなことがあり得たとしても美女ばかりのチームだろ?  どこのAV企画だよ? って、そう思ってた、俺も。  その募集条項を見ても、『接待部』とは結局何をする部署なのか判然としない感じではあったが、特別手当の文字を見て、万が一にでも枕営業の噂が本当ならばそれなりの手当が貰えるのではないか? と思い至った。どんなババアが来るか分かんないけど、セックスするだけで金がもらえるなら悪くないのでは? そもそも男も募集しているのか分からなかったが、性別については何も書かれていなかった。  ともかく俺はエントリーシートを出した。俺は特別イケメンってこともなかったが、自分でブサイクだとも思わない。ただ少しだけ歳のわりに童顔だって言われるけど、DKに間違われるほど幼くもない。 ◆  ダメ元で出したエントリーシートの件で……人事部でも総務部でもない部署から連絡があったのは、その10日後のことだった。  その3日後には初接待。  事前に向かうように言われた都内某所の商業ビルの一室で、俺は用意されていたスーツを貸し出された。割と上等なやつ。サイズは以前採寸されていた。  ――ここまでしないといけない相手!? 富豪かよ?  軽く現実逃避しつつも、すっげぇ変態だったらどうしようかと不安になってきた。  そのあとハイヤーで連れて行かれたこれまた都内某所。庭園付きの豪邸を一棟丸々借り上げている場所だった。  俺は受付の人に案内され、豪華な洋間ホールのような場所へ連れて行かれ、そこで座って待つよう言われた。  程なくして男が5人ほど入ってきて、俺に座ったままでいるように言うと品定めでもするよう見つめられた。  顎の先クイと上げられたり、前髪をかきあげ額も見つめられ、ワイシャツの襟口から指を挿し入れてきた男もいた。  少しくらい笑ったりして愛想を振りまけば良かったのかも知れないが、緊張でそれどころじゃなかった。  この男たちの誰かと俺はセックスをするのか? それとも5人全員といきなり6Pとかないよな!?  って不穏すぎたし、外国人ぽい人もいて、出来ればちんこ小さい人に入れてもらうくらいで済ませたい……ってビビってた。  それから男たちは出て行って、また別の男たちが5人入ってきた。同じように品定めタイム。  更にもうひと組現れて出て行き、俺はすでにぐったりと疲れていた。見る限り、可もなく不可もなくって印象だったけど、面接なんかでもそうだが印象と結果は案外合致しない。  そのあと7人が戻って来て、俺の緊張はピークになった。  ――えっ? 8P!? 聞いてないけど!?  緊張する俺に、男の1人がシャンパングラスを差し出した、中には黄金色のシャンパンらしき液体が泡を上げている。しかしその泡は通常よりも多く立ち上っており、錠剤が一粒入っているのが見てとれた。  躊躇いながらも俺に、それを受け取らない選択肢はなかった。明らかに一服盛られたそのシャンパンは、たぶんセックスドラッグの類いなのだろう。  勃起薬の類なのか、媚薬みたいな興奮剤なのかは分からないけど。  俺はほとんど一気にそれを飲み干した。これで俺が前後不覚になっても知るものかと、ヤケになる気持ちもあった。  ヘナヘナと元座っていた背もたれのないソファに座り込むと、2人の男が近づいて来て俺の身体を支えてくれた。  俺はぼんやりとしたまま礼を言って、伸びて来た手がネクタイを緩めてくるのにされるままいた。しかし別の指がワイシャツのボタンを外し始めるのに、思わずその手を押さえる。  自分でも自覚しないうちに涙が浮かんで来ていた俺に、 「これはまだ味見だから、怖がらなくていい」  優しげに言われ、頷き手を離していた。  味見とは言われたけれど、大きく丸いソファの上で全裸にされた。  足を広げられたり腕を掴まれたり、ケツの穴まで見られたし、ちんこに息を吹きかけられ、乳首を摘まれた。  口の中まで指を突っ込み見られ、肌もいっぱい撫でられた。  7人いるから14本の腕が俺を吟味して、最終的にはちんこを扱かれガチガチに勃たせられたのは気持ち良くて、変な声が出ちゃったのは薬で朦朧としていたせいだと思う。  そのあとガウンを着せられて、男たちはまた出て行った。  なんかすごいことされたけど、セックスどころかそれほどエロいことはしてない。  拍子抜けってんじゃないけど力が抜けるよう戸惑う俺が、迎えに来た黒服の男に着いて行くと、デカいベッドのある部屋で1人の男が待っていた。  さっきの7人の中にいた1人だ。あの中では割と若めだったと思う。40前後くらい? 顔だって悪くなく、清潔感もある。 「今夜は朦朧としている間に全てが終わるから、君は身を委ねるだけでいいよ」  言われ、俺が抱かれるんだろうなと気づいた。 「処女だって本当?」  尋ねられ、 「ハイ、よろしくお願いします」  緊張したまま答える。  でも少しだけ練習したと伝えたら、 「可愛いね」  と笑われた。  めちゃくちゃ恥ずかしかったけど、良い方にとることにした。  多分この人は優しい。人は見た目によらないかも知れないけれど、変態では無さそうに見える。  どうやらこの屋敷で初めてセックスをした相手が、俺の『接待部』での後見人のようなものになってくれるらしい。  これから俺は求められるまま色んな男とセックスをすることになるけれど、基本的に俺についての権限はこの男にあるそうで、困ったこと嫌なことがあったら彼に相談すれば解決してくれるとプライベートと専属秘書の連絡先を渡された。  男は清邦(きよくに)といった。 ◆  そうしてその夜俺は、清邦に抱かれた。  清邦は男の扱いに慣れているのだろう、俺が自分で拡張しても上手くいかなかったところをどんどん広げては性感帯すらみつけて開発してった。  気づけば俺はケツをいじられて射精してたし、その気持ちよさに、 「気持ちイイ♡ 気持ちイイ♡」  何度も清邦に甘えていた。  ちんこを扱いて達する絶頂とも、女とヤッて達する絶頂とも違うアクメ。  清邦に開かれた性感にハマって、もっともっと♡ とねだっていたら、とうとうちんこをハメられたけど、それもたまらなく気持ち良かった。  薬のせいもあるかも知れない、それに使われたローションにも媚薬が含まれると言われた。  清邦のちんこは……いや、すごい立派でちんぽって感じだったんだけど、結局全部俺のケツの中に入ってしまった。  清邦のちんぽにケツのなか擦られて、俺は女の子みたいにアンアン鳴いてた。  ちんぽ入れられてるのめちゃくちゃ気持ち良くて、ちんぽに擦られてるところも当たってるところも気持ち良くて、恥も外聞もなく、あっという間にアヘってた。 「これがいいの?」  ちんぽに突き上げられ、 「ッあ♡ ッあ♡ ッうううううんんんんん~」  ビクッビクッ♡ と身体は震え、噴水みたいな勢いで発射した射精中もずっと腰が揺れてんの止まらなかった。 「聞かれたことには答えなさい」  指示するように言われ、 「あ"あ"あ"あああああぁぁーーッ♡」  更にイキながら、 「気持ちイイです!! ンぎもぢぃです!! すごいいぃぃ!!」  気持ちイイのを伝えると、俺のイイとこ的確に抉って来たちんぽに負けて声も出せない状態までイキまくり崩れ落ちた。 「可愛い顔になってきたね、みんな君に夢中になるよ」  清邦は言うと、 バチュン♡ バチュン♡ バチュン♡ バチュン♡ バチュン♡ バチュン♡バチュン♡ バチュン♡ バチュン♡ バチュン♡ バチュン♡ バチュン♡  音を立てながら腰を叩きつけて来て、俺は痛みもなくただ快感に足掻く。 「ちんぽ好きになって来たかい?」  尋ねられ、 「好きぃ♡ ちんぽ好きぃ♡ 気持ちいい♡ 気持ちいいよぉ♡」  俺は見られていることも忘れて喚いてた。 「君のおまんこも凄く気持ちイイよ、処女のおまんこはすごいね、キツくて、無邪気に締め付けては絡みついてくる」 「あっ♡ あぁ~っ♡ 俺、おれの……気持ちイイ? 気持ちイイ?」  気持ちイイと言われたのが嬉しくて、男のくせにおまんこと言われたのすらどうでも良くなる。 「ああ、気持ち良いよ、いいおまんこだ」  清邦は俺を褒めて、両方の乳首をやわやわつねった。  そんなとこ触られても何ともなかったはずなのに、身体中に痺れが走ったように快感が抜ける。  開いた足がガクガク震え、イキかけてた。 「君は明日から3日間、アナル開発の教育を受けてもらうよ。そうしたら俺以外の男にも抱かれることを覚えて、もっともっと男を喜ばせる身体になるんだ」  清邦の言うことに、俺はただ頷いてた。  そのくらいホモセックスは気持ち良くて、ケツ溶けそうで、そして前でちんこを扱きながら後ろにちんぽを、 パチュン♡ パチュン♡ パチュン♡ パチュン♡ パチュン♡ パチュン♡パチュン♡ パチュン♡ パチュン♡ パチュン♡ パチュン♡ パチュン♡  叩きつけられると、今度は射精しないままイッてた。 「あ~♡ ちんぽすごいぃ~♡」  気持ち良すぎて震えが止まらない身体をガクガクさせると、更に叩きつけられて目の前も頭の中も真っ白になったままイクのが終わんない。 「いっ、イクの……イクの止まんないぃ~♡」  清邦に助けを求めると、 「由月(ゆづき)くん、本当に君には男を喜ばせる才能があるね」  彼に名前を呼ばれた瞬間、俺はまたブルブル震えながらメスイキしていた。 ◆  清邦に初めて抱かれた翌日から、あの洋館の一室で黒服の男たちに『新入部員研修(オリエンテーション)』という名のアナル開発の教育をされた。  とは言っても色んな男に抱かれた訳ではなく、アナルを含めたセックスの準備について教えてもらったり、アナルプラグやバルーンを使った拡張のやり方、電動エネマグラを使った前立腺開発のやり方、チクニーの指導、男同士の(アナル)接待業務で気を付けたい作法なんかを授業形式で教えてもらった。  俺は清邦との夜でいきなりメスイキ出来たくらいには優秀だったし、彼に導かれるまま開かれたアナルはあのたくましいおちんぽをハメられ快感を覚えられるくらい既に出来上がってしまっていた。  それでも直前まで処女だったのだから、拡張しなくてはすぐに閉じてしまうし、性感をもっと敏感にすることは『取引先()』を悦ばせることにも繋がる営業努力だと教育される。  まだ清邦以外の男に抱かれる自分を想像することは出来なかったけど、彼を悦ばせることの出来る身体になれるなら努力も苦では無かったし、むしろますますケツの快感にハマって電動エネマグラでダラダラと射精しながらメスイキに痙攣しながら、アヘアヘにキマりまくってた。  俺の『新入部員研修(オリエンテーション)』の様子は、いつでもリモートで清邦が確認出来るようになっていたらしい。  次に会った時には彼にいっぱい褒められたし、いやらしい俺の痴態をいっぱい言葉で責められゾクゾク♡ した。  俺の他にも『新入部員研修(オリエンテーション)』を受けている社員が居たようだったが、顔を合わせることも言葉を交わすこともなかった。  ただ、男のものとも女のものともつかないような嬌声や絶叫が遠くから聞こえることはあった。  『接待部』については部外秘とされており、更に『取引先』への『接待』については『接待部員』同士でも情報のやりとりは禁止されているらしい。部員同士が会うことは、『取引先』の意向……つまり多人数体制での『接待』の『業務委託』があった場合のみで、『業務』以外での部員の接触も原則禁止。  うちはかなりデカい会社だから『業務』外の社屋で会うことなんでそうそうないだろうと思うし、元部署の関係部署社員がマッチングされるようなことは避けられているって聞いて安心した。  3日間の教育期間は関係会社への出向扱いになっていた。  元部署での仕事の他に『接待部』の仕事がある時は出向や残業扱いになるらしい。休日出勤になった時は、代休も与えられる。これはあくまで正式な『業務』なのだ。  『特別手当』は月に一度付与される。初めてそれを貰うまで金額の詳細は聞かされていなかったが、思っていた倍はあった。この金額は後見人によって大きく変わるらしい。更に清邦からは御祝儀という名目の初回ボーナスのような物を会社を通さず現金で受け取り、その分厚さを見た時は桁がひとつ違うだろう? とびっくりして何度見もした。  多分俺の後見人はかなり太い『あたり』だったんだ……と、後に思い知らされることになる。  『新入部員研修(オリエンテーション)』が終了してから今までに清邦(きよくに)に会ったのは4回。  毎回抱かれて、抱かれるほど彼にハマってしまっていくのを感じている。セックスが気持ち良いってのは勿論のことなんだけど、彼の言葉や声が心地よいとか、体温を求めてしまうとか、名前を呼ばれるだけで胸がトクトク♡ と騒ぎ始めるほどなのだから――かなりヤラれているって自覚している。  俺は元々男相手に恋愛感情だとか性的興奮だとかするタイプじゃあない……いわゆるストレートとかヘテロとかノンケとかいうタイプだったはずだし、過去に付き合って来たのも女だけだったんだけど、清邦はそんな俺を呆気なく自分のオンナにしてしまった。  今でもこれが恋だとか愛だとかいうものなのか? と問われたら、「そうだ」と言うのは躊躇う。  彼に呼ばれ、会って、初めてキスする時は未だに違和感を覚えるし、ちんぽを咥える瞬間もわずか躊躇う。なのに清邦はそれすら愉しそうに見下ろし、しゃぶりついたらすぐに夢中なる俺を満足そうな鼻先で笑う。そうして俺は彼に従属するようにして身体の全てを開く。  イキ過ぎて死んじゃうんじゃないかってほどのアクメ地獄で人格崩壊するまで追い詰められながら、今度は彼に隷属する。彼の性奴隷である自分を自覚して、多幸感に服従を誓いながらそのペニスを貪る。  これは『接待業務』でしかなく、しかも彼は俺の後見人で今後彼に言われるまま他の男にも抱かれることになると分かっていて、だけど彼に命じられるならそれすら嬉しいと思っている俺がいる。  これはもう、きっと恋や愛なんてものではなく信奉だ……ってほど、彼に心酔しきっている俺がいた。

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