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第1話

  思えば、遠くに来たモノだ。 そう、電車の窓を開いて、俺は蒼く広がった昊と海を見詰めた。 「───あの、隣、宜しいでしょうか?」 そう言って、俺の隣の席を指差す青年に俺は首を傾げた。 見渡す限りこの車両は、ガラガラ。 貸切状態ですと言わんばかりに席は何処も空いている。 ソレなのに、彼は敢えて俺の隣を示した。  

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