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第16話

  あの日からたびたび思い出す少年の面影を瞳に映し、彼が好きそうな海と昊を眺められる古びた電車に乗っていた。そしたら、何時しか、この電車の常連客になっていた。 決まった座席に腰を下ろし、海のある側の窓を開ける。ソレが、僕の日課になっていた。彼のようだと少し嬉しかった。 彼の真っ白な肌や成長し切ってない子供っぽい体躯を思い出しては、初めて彼に触れたあの日のことまで思い出しては後悔をする。 早くから、彼に触れていたら、と。 窓からは海の匂いがする潮風が入って来て、気持ちがイイと感じた。彼なら、何て言っただろうかと一人ゴチる。 そんな日々が二年過ぎ、彼への想いもコレがしに薄れようとしていた時だった。何時もの座席に日系人の少年が座っていた。 電車の窓を開いて、僕が何時も眺めている景色を彼は一つも違うことなく、僕がしていたように海と昊を眺めていた。 黒曜石のような瞳と髪の毛を持った彼は、あの少年そのモノで、僕は息をするのも忘れるくらい、彼のその姿に見入っていた。  

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