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第二章 15話 魔女の部屋-1

 コバルトはしばらくの間、謹慎処分となった。今は独房にはいってるという。 「ええっ!そりゃ強引に連れていかれたけど、魔物が出てきたのはコバルトのせいじゃないよ!」  アキトはエドガーに反論していた。 「わかってる。だがお前が危険な目にあったのは確かだろ!」 「でも!エド!独房って牢屋でしょ?コバルトは隊長なのに」 「……俺が言ったんじゃねえよ。コバルト本人が入るって言ったんだよ。それにコバルト隊はしばらく副団長のアランが面倒みることになったんだよ」  エドガーが困った顔をするとけじめが必要なんだよと小声で言った。 「それに予定では今回は偵察だけだったんだ」  そうだ。はじめは偵察に行くと聞いていた。だがあの森の現状をみて思わず手を出してしまった。それもアキトから手伝うと言い出しだしたのだ。 「周囲をいきなり浄化しちまったから焦った魔物が攻撃してきたんだ」  そういえば、沼地を綺麗にしたくて直接浄化しようとした事を思い出した。 「正式な許可なく俺の伴侶のアキトを連れて行っただけでも懲罰もんだったんだ」 「僕がエドの伴侶なだけで?なんで……あ。……団長の伴侶だから?」  竜騎士団の団長は王族でないとなれない。その伴侶は……。 「そうだ。アキト。お前はもう王族なんだよ」 「僕……のせいなの?」 「アキト。貴方のせいではありません。自分を責めないで。」  クロードがアキトを抱きしめ、優しく背中をさすってくれた。 「ちぇっ。なんだよ。またクロばっか!俺もアキト抱きしめたいのに」 「エドが日ごろから王族らしくないのが悪いんです!」 「しょうがねえじゃんか。俺は帝王学とかより武道重視だったからな。歴史やしきたりも習っちゃいねえんだよ!」 「それはエドが勉強嫌いだったからではないのですか?」 「ちがーう!いや勉強は嫌いだったがラドゥ兄貴がしなくていいって言ってくれたんだよ」 「え?……第二皇太子がですか?」 「そうだよ。まあ俺は三番目だし、冒険者になればって魔物退治を進めてくれたのもラドゥ兄貴だ」 「第三皇太子に王族になって欲しくなかったように聞こえますね」 「なんだそれ?王位継承権のことか?元から興味はないからいいんだよ」 「まあそうでしょうね……でも継承権を放棄しても王の血筋には変わりない」 「クロ。何が言いたいんだよ?」 「……いえ。」 「団長!朝練始まりますよ!」  部屋の前で何人か竜騎士が呼びに来てるようだった。 「とにかく!アキトは今日は部屋にいろ」 「僕っ、コバルトに面会に行きたいっ」 「駄目だ!今日は部屋にいろ。……頼むから部屋で大人しくいてくれよ」 「……わかった」 「エドガーに何度も同じこと言わせちゃったな」 「ええ。でもエドガーのいう事も理解してあげないと」 「コバルト凹んでるだろうな。僕は大丈夫だよって笑顔で言ってあげたいだけなんだ」 「気持ちはよくわかりますが、アキトは隊員である前にエドガーとわたしの伴侶なのです」 「クロ?」 「わたしもアキトの事が心配なのです。今日は傍にいてくれませんか?でないと嫉妬に狂いそうです」 「クロードったらコバルトのことで妬いてくれてたの?」 「もちろん!私がすっごいやきもち焼なのをご存じないのですか?」  クロードはわざと片眉をあげてアキトを睨む。 「ふふふ。今知ったよ」 「では慰めのキスをしてくれますか?」 「うん。いいよ」  僕はクロードの首に腕を回しチュッと軽く口づけをした。 「ふふ。エドにまた抜け駆けだって言われるでしょうね」  クロードは優しい。僕の気持ちをあっという間に穏やかにしてくれる。 「僕、クロに甘えてばかりだね」 「いいんですよ。わたしはアキトをデロデロに甘やかす所存ですので」 「あはは!何だよソレ!」  ついに僕は大声でわらった。  

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