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第二章 26話 崩れた結界-1

 ちょっと血の出る表現があります。お気を付けください。 ~~~~~~~~~  グワンッッッ!!と空気が揺れる衝撃と共にラドゥが膝から崩れた。 「しまった……やられましたね」  ラドゥが悔し気に顔をゆがます。 「兄貴っ!大丈夫か?」  エドガーがラドゥの身体を支える。 「これは。無事に結界が壊されたようですね」  クロードが周辺を見回しながらアキトを抱き込む。 「え?今の攻撃が当たったんじゃないの?」 「ええ。ユリウス様は手加減されてましたからね」  そうだったのか?結構我を忘れて攻撃してたような感じだったが?  そういえば、城の備品を投げまくってたような。これは規定外の兄弟げんか?  本気だったらどうなってたんだろう?  「エドガー、私から離れなさい」  ラドゥがエドガーの手を振り払った。 「いやだ。もうわざと悪ぶったりしないでくれ」 「エドガー。これがわたしの本質なのです。醜悪で自分勝手な人間なのです」 「違うよ。兄貴は優しいさ。だから過去の自分の過ちに後悔してる」 「後悔していればこんなむごいことはしませんよ」 「むごいとわかってるんだね?」 「……」 「おいっ!!こんなところにいたのか?!至急治癒してくれ!」  見慣れた巨漢が現れた。 「アンバー?!どうしてここに?」  ──数時間前に遡る───  子猫のアキトと別れた黒猫のクロと小型犬のエドガーは柱の陰に隠れていた。 『おい、アキトと別行動しても大丈夫なのか?』 『執事の子達が一番良心的で安全です。それよりエド、犬の姿のまま入り口を繋げれますか?』 『戦うわけじぇねえからな。魔力を流すだけだからなんとかやってみるさ』  ドラゴン城からの転移場所は王の寝室だけではなかった。  万が一の事も考え数か所予備を作っておいた。  現地に到着後、状況を見てルートを開けるかは団長が決める事として。  実際に現状を見て、王都は壊滅に近いという判断とした。 『では、抜け道を繋いだら、現状を説明してください。エドなら人型でなくても団長と認められたので竜語で意思の疎通ができるはずです』 「……わかった。そういうことなら俺が一番適応しているだろう」  現れたのはアンバーだった。王宮の中庭は土で出来ている。  もちろん周りは高い塀に囲まれているが地面をもぐれば外に出れる。 「俺は土と同化し擬態することが出来る。土の中を移動して結界の元になってるものを壊そう」  アンバーはすぐにその場から姿を消し、地面を移動した。  都合よくアンバーが出てきたのには訳がある。アキト達を送り出したのは良いが、やはり気になって何かあれば自分が一番に行くと仲間たちを説き伏せて連絡が来るのをずっと待っていたのだ。  他の竜たちも隠密に動くなら彼が一番だとわかっているのだ。  塀の外に出たところで地面から顔出した、 「ぐぅう。臭いっ!」  何だこの異様な臭気は? 結界を張ってある場所にはキツイ臭気が渦巻いていた。  そのまま少し離れた場所で実体化した。周辺には人がいない。  王都はどうなっているんだろうと土から小さなゴーレムを作り出し四方に偵察に行かせた。  どうやら王都には今ほとんど人がいないようだ。  結界から放たれる臭気のせいで皆、近隣の村や町に避難しているという。 「不幸中の幸いか。いや、わざとか?人々をココから離すためか?」  においの元もすぐに特定された。腐乱した魔物だった。  王都に魔物が襲ってきてたのか?

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