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-律人/ガク-プロローグ
その音色を聴いた瞬間、俺はすべてを思い出していた。
絶え間なく聞こえてくる銃声と、銃弾に倒れる仲間たちの亡骸。
明日は我が身と怯えながら、祖国から遠く離れた南方の地で戦っていた日々。
そして生きた心地のしない毎日の中で、唯一自分の心を慰めてくれた存在——音楽。
その曲はあまりにも有名で、過去に何度も耳にする機会はあった。
けれどこの瞬間にすべてを思い出したのは、この旋律を奏でている人物こそが
あの時代、あの国で出会った『彼』の生まれ変わりだからなのだろう。
バイオリンを奏でる美しい横顔を目にした時、確信した。
彼こそが、前世の自分が生きるよすがとしていた相手。
生涯をかけて愛した——そして二度と再会することが叶わなかった相手だと。
俺は今生こそは彼を幸せにし、そして俺自身を幸せにすると誓った。
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