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[1]ずっと前から好きでした

「綿貫……いつから気付いてた?」  衣笠のこげ茶の瞳に、ティーライトキャンドルの炎が揺れる。 「好きだ なんて、言わないでおくつもりだったのに」  おもむろに投げかけられた言葉に、思わず目を見開いて隣に座る衣笠を見つめた。  「綿貫にはバレバレだったのか、なんか恥ずかしいな」と膝を抱えて笑う衣笠は、初めて出逢った今年の春と同じ、屈託のない笑顔だ。  買ったままだった小さな花火セットを山車(だし)に、夜中に大学の寮から連れ出した。  急に向きを変えた夜風から守るように、無意識に身を寄せる。山の夜風はもう秋の気配。外に出るなら、薄い長そでを羽織ってくるべきだった。  同じ大学とはいえ専攻が違うのでほとんど接点がない俺たち。策を巡らせ、夏休み中ずっと寮からバイト先への送り迎えを買って出た。その甲斐もあってグッと距離が縮まり、親友に。たけど、このままじゃ夏が終わっちゃうよ? 夏の間にトモダチからコイビトへ進展させるつもりじゃなかったか? 衣笠がノンケだからって遠慮し過ぎなんじゃないか?  休暇を終える学内寮は、もうほとんどの学生が戻ってきている。二人だけで話ができるのはきっと今だけ。これは神様のくれたこの夏最後のチャンス。来週からは試験期間だし、衣笠はバイトの日数を増やしてくれと頼まれているようだし、夏休みの様に隣には居られない。  どうする俺!  なんでノンケの衣笠(こいつ)がこんな甘やかな言葉を俺に投げるの?  『きちんと言葉にしなくちゃ相手に伝わらない』と、幼稚園で教わったよな。大事なことはみんな幼稚園の砂場で教わるんだ。 「き、衣笠っ」  衣笠の手元の花火が燃え尽きるのを待って、名前を呼んだ。多少噛んだが気にしない。  相手の目を見て話をするは今は守れそうにない。 「俺……好きなんだ」 「うん! やっぱりそうだよな!!」  ……ん?  

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