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第6話

「っああ……!」  散々焦らされたからか、与えられた刺激が想像よりも強かったらしく、部長が身体を大きくしならせて反応する。  それと同時に先走りがこぽりと溢れ出て、彼の腹に小さな水たまりができたのを矢田は見逃さなかった。 「長谷部長」 「な、に……?」 「部下の前でこんなにおもらしして、恥ずかしくないんですか?」 「――恥ずかしい、です……」  顔を赤くして目を潤ませて、視線を逸らしながら答える部長の様子が矢田の嗜虐心を煽る。  どこまでが部長の計算なのか定かではないが、すべて計算だったとしても乗ってやろうじゃないか、というある種の対抗心に似た感情も芽生えていた。  何度も同じところを刺激し続けていると、部長はシーツをぎゅうっと掴み、枕に口を押し付けながらあられもない声を上げる。  その様子を面白くなさそうに見ていた矢田が突然手を止めると、不思議そうな顔でこちらに視線を向ける。 「声、聞かせてくださいよ」 「さすがに上司の喘ぎは聞きたくないかと思って……」 「だったらそもそもホテルなんか入ってませんって。それに……」  無遠慮に二本目の指を挿入し、部長の身体が快楽で震える。眉間に小さなしわを作りつつ、矢田が笑う。 「俺がシャワー行ってる間に慣らしましたよね?これ」  ぐちゅぐちゅと音を立ててかき混ぜると、部長は喘ぎながらも小さく笑う。 「あっ、あ……バレてた?」 「……俺だってそれなりに色んな人とヤってきてますからね」 「はは、矢田くん。君のこと、ますます気に入ったなあ……」 「そりゃどうも」  どこまでも読めない部長の様子を見て、矢田はこの男を本気で喘がせて、自分に心から屈するところを見たいという気持ちが強まった。  手始めに二本の指で部長の前立腺を撫でるように何度か刺激すると、若干物足りないのか身じろぎする。  その後強めの刺激を与えると、部長はんん、と鼻から甘い声を漏らしながら脚を大きく開いて腰を浮かせた。 「へえ。結構強めにしちゃったかと思ったんですが、部長はこのぐらいじゃないと物足りない人なんですか」 「っあ、ちが……」  否定の声とは裏腹に、腰が勝手に揺れているのを自覚しているのか、長谷は目をぎゅっと閉じた。  矢田はその小さな仕草に、ますます欲情する。 「違いませんよね?」  ぬちゃり、と音を鳴らしつつ強めの語気で語りかけると、ふるふると首を振りながらも陰茎は全く萎えることはなくむしろ先ほどできた水たまりが大きくなっていた。 「足腰立たなくさせてあげますよ、部長」  矢田の言葉に、部長は目を細める。その表情が何を物語っているのかは今の矢田にはわからなかったが、この人の余裕も、笑みも、何もかも俺でぐちゃぐちゃにしてやりたい。  矢田はそんな衝動を噛み殺しながら、指をさらに深く押し込んだ。

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