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第1話 組長の巣作り

俺は、今イラついている。 どんなに頑張っても、オメガであるせいにあらがえないことを。 努力でのしあがってきたオメガ性だって薬で抑えられてきたんだ  それなのにあいつに出会うまでは俺だって組長として男らしくいられたんだ  運命のつがいっていうものに出会うまではな   そしていそいそと俺はなれないことをやりむしゃくしゃしている手には力が入らないし、フルフルと震える手が俺の腕じゃないみたいだ  あいつの香りがする布を集めて山にしようとしても、ミニマリストで服が足りない  「これじゃ、台無しだ俺は……喜ばせられない」と半ばパニックになる手で、 スマホであいつにコールしたのだけは覚えてる。 「組長……組長どうしたんですか?」と、遠くに聞こえる声に頭で答える  「蓮もう俺……はぁっ」俺だってオメガじゃなければ…… オメガには到底思えないような、男らしい黒髪でぬれた目を泳がせる ガチャガチャと急いで開ける音に目が覚める 冷たい風と共に入ってきた声を聞いて安心したんだ 俺のあたまに手をやると、 「熱が出てるじゃないですか」ととんちんかんのことをぬかしやがる こいつの、栗毛色の髪を引っこ抜いて禿げさせようかと思うくらいに…… こいつは俺より八歳年下だが、若い体にがっしりした肩で…… 俺が頑張ってつけた筋肉よりもしなやかで美しい体を持っている  まるでに偽物の俺と違って、誰から見てもアルファだとわかる。  この男に俺は、運命のつがいだということをわからせられる   いつもは、チャラチャラとしている最近の若者だ。スーツをしっかり着こなす姿とどこまだあどけない少年の面影が残っているようだ けれど、この若頭はしのぎのこととなると、鋭利でとがった刃物のようになるが大事なところが抜けてやがる 「あつ……こんな熱出たら風邪ひいちゃいます」と、布団を直そうとする その手を、すかさず止める 「巣が……」と言われて初めて、びっくりしたかのような顔をすると そういえば俺も体が熱くなってきた気がしますとネクタイをほどく 「気づくのが遅すぎるんだよバカが」と力のない手で殴ろうとすると 「気づかなくてすんません 今楽にしますから」と、俺の体のに触れられるだけで、熱が噴き出す 待っていたかのように汗が張り付く 「きたねぇ、風呂……お前は洗うな、、、俺だけ風呂入って……くる」といいベッドからよたよたしながら降りようとすると 「何でですか?俺だって風見さんの香り嗅ぎたい」っと引っ張るまたベッドに逆戻りだ 「おまえ、汚いのは嫌いだろう!だから気を使ってやってんだろうが」というと 「風見さんのだけは特別です」と汗を舐める 「なっ……汚いだろ」 「風見さんのは、……なんだかおいしい気がします」 顔に熱が集まる俺は、蓮の服で顔を隠す 「やっ」俺はその行動がミスだということにすぐに気づく 肺いっぱいに入ってきたオスの香りに体が、それだけで喜んでいるのが分かる 「一人だけで遊ばないでください。俺も混ぜて」と蓮はキスをする 最初はいつも触れるだけのキスから始まる、この男の残虐性を知らなければ王子と言われるだろう 「ねぇ、いっしょにあそぼう」と蓮の顔を見ると目が獲物を狙うかのようにランランとしていた *蓮の視点*  突然あの人から連絡来たとき 間違い電話じゃないかと疑ったくらいだ。 でも、確かに愛するあの人の声で俺の名前を呼ぶ。いつもは「おい、バカ」とにかくバカが名前だと思うくらい呼ぶ組長が、俺の名前を呼ぶっていうことは一大事だと、ガチャガチャと音を鳴らしながら扉を開ける。 いつもならうまくいくのに、てまどう。  そして家に入った瞬間、風見さんのにおいで充満している  風見さんはオメガ性が低いと言っていたからなんども、寝てるときに俺の服をーーー 周りに仕込んでいたかいがあったと思い出す やっとここまできた やっと俺の事を受け入れてくれた気がして 嬉しかったから少し時間がかかった分、 俺は風見さんをいじめることにした  「熱が出てるじゃないですか?」と触る風見さんのにおいを早く確かめたい  俺だけの風見さんを早く見たい   「風呂に入る」って言われたとき俺の事を、こんな時まで。思ってくれるなんて思ってもいなかった  でもそんなもったいないことはさせない。 だって俺だって、とっくのとうに組長の香りに酔っているのだから。 黒髪に艶めく黒い目努力して鍛え上げられたからだ。 でもどこか、線が細い組長の体を見て、今まで一人で、アルファのふりをしてきたかと思うと自分しか知らない……それだけで俺の独占欲がうずく これからも、この姿は俺のまえだけにしてください と独り言のように思う 「うるさい、早くしろ……もう、」と襟首をつかまれる   「はいはい。ちゃんと遊びましょう」というと泣きそうな顔で 「遊びはイヤだ ほんきじゃなきゃいやだ」という組長が可愛すぎて、キスをする  今度は深く甘いキスをあなたに贈る

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