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第2話 キスのその先に意味はないことは、知っている。それでも、俺はその先のあいつを求めてしまうんだ
ヒートが収まり、一週間一緒にいてくれたあいつ
でも俺なんかといなくたってほんとはいいはずだ
何度こづくりしようが意味をなさないことはあいつに伝えてあるのに
かいがいしく世話になると嬉しさと悔しさが俺を襲う
俺が子供を作れない欠陥品になったのは、まだヤクザになるまえだ。
同級生と隠れて付き合ったときにこどもができた
そしたらあいつは思いっきり俺の腹をけってきった
「そんなの、いらないないよ。わずらわしい、俺と結婚でもできると思ったのか? 」と
蹴られたり殴られた……。一時間するころには、俺の子も、一生できない体になった。
俺はまだあの時、抵抗するすべがなかった ただただ体を丸めて子供を守ろうとするしかなかった
相手は政治家の家の息子だから、手切れ金だけを渡されて、あいつは普通の生活に戻った
自殺を考えてふらふらしてたところに、今はもういない組長が声をかけて、飯をもらった ホームレスへの炊き出しだったが、あったかい食事が俺を救ってくれた。
だから俺は少しでも組長みたいになりたかったんだ。
もういないわが子を思って腹をさする。
あいつがそのしぐさを見っているなんて思ってもみなかったんだ。
*蓮視点*
お腹を、愛おしそうに触る風見さんに、なんども俺は、
「風見さんといたい」といっても悲しそうに笑うだけだった
風見さんは俺は欠陥品だから、子供ができないんだと教えてくれた
でも、無意識にお腹を触っているときの組長は、まるで子供に愛情を注ぐ聖母のような微笑みの後に、いつもつらそうな顔をする
俺は、どうしてかまでは聞けてない……風見さんがいつか自分から話してくれるまで待つつもりだ
俺はいつまで待ってるのか、無理にでも暴きたい気持ちを抑えるために、タバコを吸う
「体に悪いぞ……若いんだからやめろ」と
「風見さんこそ」と言い返す
俺の火のついたタバコで、自分のタバコを灯す
「だから、言ってんだろうが……」と笑うこの笑顔を俺は、守りたいと思ったんだ
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