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最終回 ~運命の番~

やっと噛んでもらえて、俺はほくほくと笑う。そんな俺を見て笑う蓮を、みて やっと番になれたんだ……多少強引だけど、奥手のあいつには俺がリードしてやるくらいがちょうどいいよな――あいつと同じ目の色のチョーカーを撫でる トントンと音を出しながら触る、これで――あいつは俺だけのαだ…… こんなことを思っているのは、蓮にはもちろん内緒だ。ニマニマと頬が緩む ――αである蓮と出会った日の事を思い出す それは、俺を養子にしてくれた養父であり、組長の葬式の日に初めて会った 礼服に包まれた若い男が、周りと違うほど暗く、茶色の目が黒く見えるほど落ち込んでいた 俺は、組長の遺言で継ぐことになった。まだ、組長の本当の子は、幼いのと、堅気の世界で生きさせたいよ言う思いが書いてあった。遺言ではない手紙を持ち座る それに俺も共感し、そして俺に託してくれたことが、本当の息子として認められたようでうれしくて泣いていた 「ねぇ、大丈夫?」とハンカチを渡してくる高校生の男の子に見られたことが恥ずかしく立ち上がりながら、ハンカチを受け取る 「俺より、あんたのほうが必要そうだからあげる」と言われよろよろと歩きながら、まだ慣れない組長という言葉に吸い寄せられるように歩く それが、蓮との出会いだった オメガだということを忘れて暮らしていた俺に、運命の番ができた日だった                     *                   *                   * *蓮視点* ようやく手に入れた……あの日から長い日をかけてようやく…… 俺の言えない父親の葬式だった あいつの、愛人をやってた母親は、俺にネグレクトをしていた 組長を……愛していたらしいが本妻に見つかり泣かれたらしい そして、自ら身を引いたのはいいものの、壊れた母親が俺を無視するようになった家事もしなくなり、着るものも毎日汚い服を着ていた それからその反動で俺は潔癖症になった…… 組長の元部下が、俺の事を養子にして、大切に育ててくれた 母もだんだん心を、その人に許していき、俺は堅気のうちの子になった 愛されている感じがしたが何か足りなかった時、血のつながりだけの親父 (あいつ)が死んだ  「葬式だけは、出てらしゃい」と元気になった母と養父が言ったので、 あの憎たらしいだろう血のつながっただけの親父の顔を、初めて見に行った どうやら養子を取ってたらしい……俺を差し置いてと顔を見に行ったら、 綺麗な顔で泣いている男がそこにいた。――風見さんに出会ったんだ 俺の大切なオメガに、運命の番に、会ったときはわずかな香りしかしなかったので気づいたのは俺だった 親父の願いなんて聞いてやらない、唯一親父が残したいいことは、 俺に風見さんを残したことだった 風見さんには、まだ黙っておくつもりだ 風見さんの中の、組長像を歪んでいるのを気づかせて、風見さんを傷つけたくない ――俺の運命は風見さんだけだ……

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