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第12話 噛まれたいΩ

   誕生日当日を迎えたが、「先に帰る……」とだけ言って出て行ってしまった風見さんの寂しそうな背を見つめながら、俺はオメガ専用チョーカー店に足を運ぶ。目当てのものを買って、風見さんが好きなチョコレートケーキも忘れずに買っていくと、玄関から、風見さんの香りが充満して奥から押し寄せるように漂う 「なんで……風見さん」とケーキと鞄を落とす――足を進めるがあまりの甘い香りの強さに理性が解かされる そこには、俺のTシャツの下にベビードルを来ている風見さんがベットの上に転がっていた (今日は、ヒートじゃないはずなのに……) 気づいていないのか一人で、つぼみに指を入れながらうわごとのようにレンっと 名前を呼びながら触っている 「やだ、これじゃあ無理……届かにゃいなんで……」とフニフニと刺激をしている 匂いに侵された俺は、 「風見さん、かわいい……俺がいないと本当にダメになりましたね……」と囁くと 「うっン、だっから……噛んでお願い……」と言われあまりの可愛さに歯を立てたくなる俺だが、まだ理性が僅かばかり、残っているようで 「ダメですよ……まだ」というと 「もうヤダ、あっちいけ嫌いだ」と泣きながら言う風見さんに、見惚れている いると、 「ごめんね……ごめん今噛んであげるからっ」て慌てていうと 「本当っ、ほんとうに」と泣きじゃくりながら言う風見さんを見てぞくぞくと背中から電気が走る。――理性の糸が切れた音がした……。 首を舐めていると、 「もう準備できてる……か……ら」と蕾に俺の手を持っていく 俺はその迎えいる気、満々の蕾にそりったたものを当てると後ろから押し込む 首筋を噛みやすいようになめたりキスをしたりするだけで、ビクビクと音を鳴らす風見さんが好きだ 歯を当てた瞬間……匂いがが強くなる 「やっっ」と言って前に倒れこむ風見さんはまるで、どうぞ食べてくださいと言ってるかのようだった 「うそつき、かむっていった」と舌足らずな声で言う 「わかってます、風見さん好きです」と律動しながら言う俺に、夢中に腰を振っている俺に、カッコよさなどはないだろう そこにあったのは、獣のような姿だった がりっと音が下た瞬間喜びの声を、風見さんが 「やっと……やっと噛んでくれた」と気絶したように、前に倒れこむ 背中から首まで赤くなる様子は、リンゴのような甘さだった                    *                  *                  * 次の日の朝、首を愛おしそうに撫でる風見さんに 「風見さん、ヒートはまだでしたよね? 」というと笑いながら 「オメガ用の、妊娠促進剤飲んだ……。いつまでたっても噛まない意気地なしを後押ししてやったんだ――なんだ……ダメだったのか? 」という悲しそうな顔になる風見さんに、目の横をキスしながら 「そんなわけないでしょ……そんなに俺と番になってほしかったなんて、  嬉しすぎます」と耳元でささやく 「なんだょ」ともごもご言いながら伏目になる 「風見さん、プレゼントがあります」というと、チョーカーの箱を取り出す 「黒と迷ったんですけど、俺をいつでも思い出してほしいから俺の目の色の茶色です……」というと、驚いた顔の後に、ふにゃふにゃと顔を緩ませる 「着けてもいい?」というと 「当たり前だろ、バカ早くしろ。もったいぶるな」と言い取ろうとするので、 急いで、風見さんの首にチョーカーを巻く ぞくぞくと感じながら、カチッとつけると、その上からもう一度首を噛む 「お前っつ」という彼の顔は、甘い甘い色をしていた 風見さんは、もう一生俺のものだ―― 廊下に出ると、「冬だったから、よかったな」と言いながら、チョコケーキを持って帰ってくる 「蓮、コーヒー淹れろ」とだけ、照れ隠しのように言っている風見さんに、 ――触れるようなキスを送る

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