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嘘か誠か
休み時間。颯希は他の男子と話している。僕は一人で窓から外を眺めていた。クラスの女子とも仲はいいけど、今は一人で居たい気分。
だったのに。
「ゆーいちゃーん」
「……藍くん、空気読めないの?」
思わず声をかけてきた藍くんを睨んでしまう。だって僕の今の気分台無しなんだもん。あ、でも。さっきの話の続き気になるかも。
「藍くん、朝の話の続きしてもらえる?」
「朝?あーいいよー」
藍くんの言う朗報とはなんなのか。僕は息を飲んで藍くんの言葉を待った。
「実は颯希くんには気になる子がいるって話ね?」
「気になる子……」
「そう。それが誰なのかまでは分からなかったや」
そう言ってごめんねと謝る藍くん。にしても気になる子、か。でも僕は気づいた。"気になる女の子"ではなく"気になる子"と藍くんは言った。それはつまり。
「僕にも希望があるって事……?」
「そういう事。やっぱり唯ちゃんは賢いねー」
間延びした声で褒めてくれるけど、颯希じゃないから全然嬉しくない。なんて言ったら失礼だから言わないけどさ。それでもほんのちょっぴりは嬉しいかな、なんて。
その時クラスの女子が声をかけて来た。僕は本人に伝わらなければと思いこの女の子達にも相談している。
「唯ちゃん大丈夫?」
「結城にいじめられてないー?」
「酷いなぁ皆 」
藍くんをおちょくりながら僕を気遣ってくれる女の子達は、いつも親身に話を聞いてくれる。たまに女子会にお邪魔させて貰う事もある。見た目はギャルっぽいけど僕の恋心を茶化す事も言いふらすでも無いから安心して相談できる数少ない友達でもある。
「ありがとう2人共。僕は大丈夫だよ?」
「唯ちゃん無理しがちだから心配だなー」
「そうだよ唯。ささいな事でも相談しな?」
笑って大丈夫だと言っても2人は尚も心配してくれる。これはさっき藍くんから聞いた話を相談してみようかな。僕は聞いた話をそのまま話した。すると2人は顔を見合せた後、頷いて僕を見た。
「唯、それはチャンスあるかもだよ」
「気になる子、なら女の子じゃない可能性だってあるよ」
「そうだよね……うん。ありがとう!」
やっぱり2人も同じ意見。それなら僕にもチャンスはある。
「唯ちゃん頑張ってね~」
「藍くんは情報集めお願いね」
軽く言う藍くんには引き続き無茶なお願いをする。2人にはまた改めてお礼をしよう。
ちらりと颯希を見ると、一瞬目が合った気がした。すぐに逸らされてしまったから気の所為かもしれないけれど。
よし。颯希へのアピール頑張ろう。
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