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第四十六章 交錯する思惑

「よし、すぐに引っ越しだ!」 「僕、城内の皆さんに協力を願って来ます!」 「俺は、症状に合った病床の配置を決める!」  エディン、アルネ、オアニアの三人は、サインのインクが乾く間も惜しんで、立ち上がった。  そのままバタバタと、慌ただしく去ってしまった三人だ。  後に残されたカテリーナは、ようやく巧いこと利用された自分に気が付いた。 「……おのれ、卑怯者ども!」  手にしたハンカチをくしゃくしゃに丸め、テーブルに叩きつけて、悔しがった。  そこへ、妙に穏やかな声がかけられた。 「どうかなさいましたか? お母様」  その声に、カテリーナはすぐに顔を上げた。

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