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中肉中背だが、筋肉の少ない薄い体躯。
母親譲りの、整った顔立ち。
つまりは美男だが、これまた母親譲りで目つきが悪い。
どこか斜に構えたような、人を見下したような目つきなのだ。
そんな青年が、カテリーナに声を掛けた。
「お茶は、冷めちゃったかなぁ?」
「ハルパロス、遅かったではありませんか!」
カテリーナの一人息子・ハルパロス。
彼が、母と約束したティータイムに遅れて現れたのだ。
咎めるカテリーナの怒りを受け流し、ハルパロスはのんびりと椅子に掛けた。
「城内に、ちょっと可愛い子がいたもので。口説くことには、失敗しましたがね」
「そんなことより、聞いてくださらない? 私、ひどく憤慨しましてよ!?」
だがハルパロスは、まだ宙を眺めて自分に酔いしれていた。
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