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「瑞々しい、均整の取れた体。絹のような栗色の髪に、白い肌。美しい面立ちだが、茶目っ気も覗くつぶらな瞳……」
「何をブツブツおっしゃるの!? 母親とのティータイムより、大切なのかしら!?」
怒り心頭のカテリーナだが、そこでハルパロスが、ニヤリと笑った。
「アルネ・エドゥアルド・クラル……綺麗になりましたね、彼は」
まぁ、とカテリーナは息子に身を乗り出した。
「いかがかしら? あなたの、将来のパートナーですわよ?」
「テミスアーリンの真珠、か。手に入れたくなりましたよ」
「良かったわぁ。これで王族の血筋は、より強固なものになります!」
異母兄弟とはいえ、父親は同じだ。
海外の多くは近親婚を禁じる風習を持ち、その情報も感覚も、テミスアーリンに浸透しつつあった。
それでも、アルネとハルパロスを結ばせようと企む、カテリーナだ。
彼女自身の、栄華のために。
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