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第四十七章 エディンのくしゃみはカテリーナの祟り
『いかがかしら? あなたの、将来のパートナーですわよ?』
『これで王族の血筋は、より強固なものになります!』
『それで、式はいつにしましょうか? やはり、花咲き乱れる春がいいかしら?』
『ハルパロスも、巧くやりなさい。アルネ殿下を、聞きわけの良い子に調教なさい!』
このように、我が息子・ハルパロスを鼓舞したカテリーナだったが、自室に戻ると熱い溜息をつくようになっていた。
「はぁあ……それにしても、麗しい御方。噂以上に、素敵……!」
手を一つ打ち鳴らし、その場でクルリと一回転する。
絹のナイトドレスがふわりと舞い、再び静かに収まると、カテリーナは天を見上げた。
「フェリックス・エディン・ラヴィゲール! 竜将・フェリックス殿下!」
本人は、うっとりとその名を唱えたつもりだが、地声が甲高いのでけたたましい。
寝所を整えに来た女官たちは、ギョッとした。
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