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 恋に、年齢など関係ない。  とはいえ、自分の息子と同じ年齢の紳士に言い寄るのは、どうかと思う……。  女官たちの意見は、自然にまとまっていた。 「ちょっと! なぜ、黙っているの!?」  返答が無いので、カテリーナは不機嫌をあらわにした。  ここは、仰せの通りにございます、との即答が欲しかったのだ。 「え、えっと……」 「あ、あの……」  もごもごと返事ができずにいる女官たちだったが、機転の利く一人が口を開いた。 「確かにフェリックス殿下は、凛々しくていらっしゃいますね!」  カテリーナから、エディンの方へ話題を逸らしてみせたのだ。  不機嫌だったカテリーナは、たちまち表情を明るくした。 「そうでしょう!? あぁ、あの端正な、どこか猛禽類の鋭さを思わせる面立ち! 鍛え抜き、引き締まった体!」  息子がアルネを気持ち悪く褒め称えたように、彼女もまたエディンを不気味に賛美した。

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