372 / 372
7
「さあ、踊ろう。アルネ、私をリードしてくれ」
「えっ? エディン様が、リードしてくれるのでは?」
「誰がそんなことを? 私は、ダンスは苦手なんだぞ」
「変な威張り方、しないでくださいよ」
いいから、手を。
手を取ってくれ、アルネ。
「踊ろう、アルネ」
では、とアルネは、優雅な所作でエディンの手を取った。
苦手でも、構いません。
音楽に乗り、心の向くままに。
「踊りましょう、エディン」
ダマビアの音楽に乗り、二人は踊り始めた。
聴き慣れないメロディーなので、戸惑ってしまう。
それでも二人は、自己流でステップを踏み、躍った。
速く回り、ゆっくりと近づき。
身をひるがえして離れ、手を繋いで再び向き合う。
唇が触れ合うほど近づいた時、アルネは唱えた。
「フェリックス・エディン・ラヴィゲールに、永遠の愛を誓います」
髪が交わるほど近づいた時、エディンは応えた。
「アルネ・エドゥアルド・クラルに、永劫の愛を誓おう」
手を繋ぐよりしっかりと、心は繋がっている。
音楽が、喧騒が、静かに消えていく心地だ。
視線を絡ませ、想いを結び、二人はそっと口づけた。
一足早い、誓いのキスだった。
ともだちにシェアしよう!

