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第41話 領主代理
5ー1 魔法適性
王都からの救援の騎士団が到着するのは、明日以降だとリュートに聞かされて俺は、爪を噛んだ。
時間がかかりすぎる!
もともとが伯爵の事故などで対応が遅れていた。
領主の不在でも、ロロたちは、なんとか現地の調査をしようとは努力していたんだが、それも魔狼の群れが現れて近づくこともできなくなっていたらしい。
俺たちは、騎士団が到着するのを待ってクルシキへと向かうことにした。
それまでにはアルデナール公爵領からの救援物質も到着する見込みだ。
王都の騎士団が本来2日は、かかる道程を1日で来てくれるとか、頼んですぐにアルデナール公爵領からの救援物質が届けられることになったということとかもリュートのおかげだった。
悔しいけど、俺じゃ、誰一人動かせなかっただろう。
俺は、いろいろ複雑な気持ちだった。
リュートは、俺を愛人として管理下に置くつもりだ。
そして、それを周囲も受け入れている。
俺も。
受け入れざるを得なかった。
あのとき、リングをつけることを受け入れなければ、俺の人生は、リュートに破綻させられていたかもしれない。
幸いなことに、リュートは、グレイスフィールド伯爵領に入ってからは、執務が忙しくて俺と2人きりになるような暇はないようだった。
俺が伯爵領についた翌日、リュートは、俺をつれてアルデナール公爵領に向かった。
これは、支援をしてくれるアルデナール公爵へのお礼のためもあるが、ついでにアルデナール公爵領にある神殿で俺の魔法適性を検査してもらうためでもあった。
この世界では、魔物と戦うためには魔法が必要だ。
俺が魔力量が多いアンギローズだと知っているから、リュートは、俺の魔法適性を調べようとしている。
俺も、このままリュートの世話になっているつもりはなかった。
愛人かもしれないけど、俺は、奴隷になるつもりはない。
俺にもできることをすることでリュートにも、俺の存在価値を認めさせなくては!
まずアルディアの街の中央に位置する神殿に向かうと、俺とリュートは、神殿の奥へと通された。
女神の間。
そこは、本来、15歳ぐらいの貴族の子女の魔法適性を調べるための場所だ。
しかし、俺は、ロートルワーズ子爵家にいたとき、15歳になっても魔法学院に入学させてもらえず、魔法適性を調べられることがなかった。
だから、俺は、まったく自分にどんな魔法適性があるのかもわからない。
もし。
何も、使い物になるような能力がなかったら。
俺は、不安で一杯だった。
女神の間の扉の前で立ち止まった俺の手をリュートがぎゅっと握る。
「大丈夫。もし、たいした能力がなくても私は、お前を捨てたりしない」
俺は、ひきつった笑みを口許に浮かべてリュートを見た。
確かに捨てられはしないのかもしれないけど、性奴みたいな扱いになるんじゃね?
そんなのは、嫌だ!
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