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第57話 新しい町

 6ー7 魔力切れ※  リュートは、俺を抱き上げると下へと運んで並んでいるテントの内の1つに連れていった。  テントの中は、魔道具のストーブの中で燃える魔法の炎のため暖かかった。  俺は、ぶるっと体を震わせる。  リュートは、俺を抱いたままクッションが置かれた地面に腰を下ろすと俺を膝に横抱きにした。  すぐにリトが毛布を差し出し、リュートがそれで俺を包み込む。  その間も、俺は、震えが止まらなかった。  寒い。  体が凍えて。  リュートは、ぶるぶる震えている俺を抱き締めた。  「魔力切れ、だな。無茶をする」  はい?  俺は、リュートの言葉に目を見開いていた。  魔力切れ?  ってことは、俺、ちゃんと魔法を使えたわけ?  俺は、震えながらリュートを見上げる。  「ドラゴン、は?」  「ああ」  リュートがふっと口許を綻ばせる。  「ドラゴンなら、お前の魔法で討伐された。あれが地上に降りる前にお前が仕留めたから被害もなかった」  リュートが俺の頭をそっと優しく撫でた。  「よくやったな、アンリ」  俺は、リュートに頭を撫でられてなぜか、ふわふわした気持ちになっていた。  なんで?  この人、俺にこんなに優しくしてくれるの?  あんな、リングをはめたり、エッチなことしてきたり、嫌だって、無理だっていってるのに無理矢理、魔力を流し込んできたりするのに。  なんで、こんな風に優しく撫でてくれたりするんだ?  こんなことされたら。   俺。  この人のこと、憎めなくなる。  魔力切れで冷たくなった俺の体を抱いてリュートは、暖めてくれていたが、なかなか俺の体は、暖まらなくて。  リュートが心配そうに側にいて見守っているリトに告げた。  「これから直接、私の魔力をアンリの中に注ぎ込む。いいと言うまで人払いを」  うん?  俺は、リュートの腕に抱かれてぼぅっとしていた。  リトは、リュートの言葉に頷くと静かにテントから出ていった。  えっ?  俺は、なんだか寂しくて。  「リト……どこ?」  「お前は!」  リュートが乱暴に俺を毛布の上に押し倒した。  「こんな時に他の男の名を呼ぶとは、いい度胸だな、アンリ」  見上げるとリュートの金色の瞳が獰猛な光を放っていた。  「ラインズゲート、侯爵?」  「リュート、だ」  リュートが腹立たしげに俺の上着を脱がせるとシャツのボタンをはずしていく。  「リュート、と呼ぶんだ。いいな?アンリ」  

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