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第56話 新しい町

 6ー6 余韻※  手のひらが!  燃えるように熱くて!  俺は、ぎゅっと目を閉じて堪えていた。  なんだか体の中からじゅるり、と何かが這い出してくるような気持ち悪さに俺は、背筋がぞくぞくするのを感じていた。  これ、あれだ!  昨夜の、リュートに抱かれた時のことを俺は、思い出していた。  あの時の感覚、だ!  俺は。  全身が熱く火照って。  胸が激しく高鳴って。  「あっ、はっ!」  気持ち、いいっ!  俺は、前で達することなくイッていた。  「はっ、ぅんっ……」  力の放出が終わって。  俺は、その場に座ったままでびくびくっと体を震わせていた。  体が熱くて。  はぁっと俺は、吐息を漏らす。  『やれば、できるではないか』  背後でなぜか偉そうにイキナムチが言うのが聞こえた。  俺は、びくん、と体をのけ反らせ後ろに倒れ込んだ。  「あっ、はぁっ……」  俺は、快感の余韻に浸っていた。  こんな気持ちいいの、リュートにされた時と同じぐらいかも!  俺は、涙や涎、鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を両手でごしごしと擦った。  これが、魔法。  俺は、ふぅっと息を吐く。  簡単じゃね?  「大丈夫、か?アンリ!」  リュートの声が近づいてくるのがわかって俺は、なぜか、ホッとしていた。  ホッとするとなぜか、涙が流れて止まらなくなった。  「アンリ!」  俺を覗き込む金色の瞳に映る自分の顔を俺は、ぼんやりと見上げてバカみたいに笑った。  「りゅ……ラインズゲート侯爵……」  「大丈夫、か?しっかりしろ!アンリ!」  リュートは、俺を抱きかかえて俺の頬をぺちぺちと叩いた。  「アンリ!」  「だ、大丈夫、だから!」  俺は、ふふっと笑いながらリュートの方へと手を伸ばす。  腕を絡ませてリュートを抱き寄せる。  「アンリ?」  「んっ……」  俺は、リュートの唇にキスしていた。  ちゅっと吸い付き、驚いているリュートの開いた唇から舌を差し込みリュートの舌に絡める。  くちゅくちゅ、と淫らな音が辺りに響いて。  俺は、流れ込んでくるリュートの魔力を夢中で味わっていた。  「んくっ、ふっ」  たっぷりとリュートの魔力を吸ってから俺は、名残惜しい気持ちで唇を離す。  つぅっと透明な糸が俺とリュートを繋ぐのが見えて、俺は、今さらに自分がしてしまったことに気づいてかぁっと顔が熱くなった。  「あっ、ご、ごめんなさいっ!ラインズゲート侯爵、様っ!」  慌てて体を離そうとする俺を抱き止めるとリュートは、俺にキスした。  「ふぁっ!」  「ん、ふっ……はぁっ……」  激しい口づけの後で、リュートは、俺を抱き締めて優しく俺の名を呼んだ。  「アンリっ!無事でよかった!」    

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