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第66話 領地再建

 7ー6 宴  せっかくのもてなしなのでありがたくもてなされていたけど、リュートが酔っぱらっているのをみて俺は、そろそろお開きにした方がいいかな、と思ってライゾさんにそのことを伝える。  ライゾさんは、名残惜しげな表情を浮かべた。  「もう、お開きに?まだ、ドラゴンの肉があるんですよ?昨日、ご領主様がお仕留めになったあの飛竜の肉ですから、ぜひとも召し上がっていただかなくては!」  ドラゴンの肉ですと?  それは、心引かれるな!  「わかりました。では、もう少し楽しませていただきますが」  俺は、ライゾさんに頼み込む。  「どうか、町のみなさんにも肉を振る舞って差し上げてください。俺たちだけがもてなされているとどうも、心苦しいので」  「はっ、かしこまりました!」  そして、それからは、楽しい宴となった。  俺たちのテントまで来てくれたこともあるオリベ君が焼いたドラゴンの肉を俺とリュートに捧げ持ってきてくれて俺は、それを手掴みで味わう。  うん!  もっと固いかと思ってたけど、ドラゴンの肉、うまっ!  口の中で蕩けるみたいだ!  てか、この味付け。  醤油?  「もしかしてこの味付けは」  「これは、『ジポネス』に伝わる調味料、ソユを使っております」  マリさんが説明してくれる。  どうやらこれも、イキナムチに供えるために少量だけ作られているらしい。  でも!  作り方がわかってて、実際に作ってるんですよね?  俺は、懐かしい故郷の味に舌鼓を打った。  宴の途中で俺は、リュートの腕の中から逃げ出して、ライゾさんたちと話し合うことができた。  ライゾさんたちが言うには、神聖な場所である山の鉱物を掘り出すことは本来は、禁忌だが、イキナムチがいいと言うならライゾさんたちもそれに従うとのことだった。  「では、イキナムチ様に確認してみましょう」  俺は、イキナムチの名を呼んだ。  すぐに返事があった。  『なんじゃ?』  俺は、イキナムチに鉱山のことを話して掘ってもいいか確認する。  イキナムチは、うむ、と唸る。  『それは、かまわん。じゃが、何事もほどほどに、じゃぞ。土地を必要以上に荒らしてはならん。後、我と共にラムナズを奉りとれた金を供えることじゃな』  俺は、このイキナムチの言葉をライゾさんたちに伝えた。  「山の木々に頼りすぎておった我々が悪かったのです。それを止めようとして下さったイキナムチ様のご意志にも気づけず申し訳ございませんでした」  ライゾさんは、イキナムチに頭を下げる。  「これからは、ご領主様のお導きに従いイキナムチ様のおっしゃられる通りに励んでいきたいと思っております」    

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