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第67話 領地再建

 7ー7 価値  翌日から俺とリュートは、町の再建を始めた。  ちゃんと話し合えたおかげで町の人たちの協力も得られ工事は、順調に進んでいた。  せっかく1から作り直すのだし、いろいろ手を入れてみたいと思い、俺は、リュートと町の大工さんたちに簡単な図面を見せて説明した。  昨日、宴で酔いつぶれたリュートをロングィユに頼んでテントまで運んでもらった後、久しぶりに自由時間ができたので描いてみたのだ。  俺には、町を作るような知識はほぼない。  だけど、前世からの知識は決して無駄ではない筈だ。  周囲を山地に囲まれているのでそれをいかしたい。  俺は、奥の山の水源から水を引いて水道を作ることを提案した。  町の通りは、水源から段々にして傾斜を持たせ、ちゃんと水が流れているかを確認するために水路の終点には水場を作り噴水を設置する。  下水は、1ヵ所に集めて浄化する。  これは、魔物の力を使うことにした。  ホルルという虫のような魔物がいるのだが、それは、不浄なものを浄化する力を持っていた。  大人しくて繁殖力も強いのでその魔物を浄水場で飼育することにする。  「魔物を飼育ですか?」  ライゾさんたちもリュートも驚きを隠せない様子だった。  俺は、根気よく説明した。  「魔物だってこの世界の生き物です。共存することは可能です」  「それは、そうだが」  リュートが顔をしかめる。  「魔物の力を利用するのはいいが、共存は、難しいのではないか?」  「でも、俺たちは、家畜を飼育していますよね?牛や馬だって1つ間違えば危険な生き物ではないですか?」  俺は、リュートの瞳を真剣に見つめた。  「扱いを間違いさえしなければ魔物だって飼うことができる筈です」  魔物を飼育うんねんは、ともかく、町の設計は俺の言う通りにすることに決まった。  「しかし、ご領主様の言われるとおりに町を作るとしたらかなりの手間暇がかかりそうですが」  ライゾさんがぼそぼそと呟くのを聞いてリュートが付け加える。  「それに金も、だぞ、アンリ。ただでは何もできん」  それは、俺も考えていた。  俺は、昨夜、イキナムチと話した。  町を1から作るためには、先立つものが必要だけど、今の伯爵家にその財力はない。  『ならば、お主が作ればよいじゃろ?』  はい?  俺は、首を傾げる。  どういうこと?  イキナムチは、にんまりと笑った。  『お主には、それだけの価値があるということじゃ』  

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