８ー６　『創造』しよう！ 　『愚か者どもめが！』 　町の下にある入り口の辺りには広場があり、中央には噴水のある泉があった。 　それは、俺が魔法で作り出したものだが、なかなかいい感じで俺は、ほれぼれと見つめていた。 　イキナムチは、泉の回りを囲む白い平らな石の上に腰を下ろして俺に怒りをぶちまけている。 　俺は、イキナムチの隣に腰を下ろして苦笑していた。 　『まったく！なんで山が崩れたと思っておるのじゃ！貴様らが木を切りすぎたからじゃろが！それを性懲りもなく！』 　「はい、すみませんでした、イキナムチ様」 　俺は、コメツキバッタみたいに頭を下げていた。 　「これ以上は、山の木を切らないように強く言い聞かしましたから、もう、大丈夫です」 　でも。 　俺は、ちらっとイキナムチをうかがう。 　「しかし、木がなければ町の再建も難しくなりますね」 　『何をいっておるのじゃ？』 　イキナムチがバカを見るような目で俺を見た。 　『造ればいいじゃろ？お主が、魔法で』 　はいっ？ 　俺は、ぎょっとしていた。 　俺が木を造るんですか？ 　『バカか、お主は』 　イキナムチが冷たい目で俺を見た。 　俺は、くっとうつ向いて拳を握った。 　バカにしてる！ 　と、俺たちの足元にいた大きな黒犬と白犬が俺を慰めるように俺の方へとすり寄ってくる。 　「お前たち…」 　俺が頭を撫でると舌を出して俺の足元に頭を擦り付けてくる。 　いや！ 　かわいいもふもふって癒しだね！ 　『お前たち、神獣としての矜持はないのかえ？』 　イキナムチが俺の足元でくつろいでいる二匹に向かってため息をついた。 　『まったく。ころっと懐柔されおってからに』 　この二匹は、イキナムチの使い魔だ。 　ついさっき山から人を追って里に出てきたところを止めようと立ちふさがった俺になぜか、速攻テイムされてしまった。 　てか、俺、そんな力があったの？ 　ともかく、整地したばかりの町で魔獣に暴れられるのも困りものだからな。 　俺は、すっかりかわいいもふもふと化している2匹をすりすりと撫でながら微笑んだ。 　ちなみに黒犬がクロ、白犬がシロだ。 　ありきたりだって？ 　名前なんてシンプルな方がいいし！ 　「俺に町の建物を造るなんてことができるんでしょうか？」 　俺がクロとシロをなでなでしながら聞くとイキナムチがちょっとムッとして答えた。 　『無から有を産み出すのがお主の魔法の真骨頂じゃからの』 　俺の魔法、『創造』 　俺は、魔法を使うのはちょっと怖かったけど、背に腹は変えられないし。 　再び、魔法を使うことにした。 　『まあ、大量の魔力を必要とするのがなんじゃが、そこは、それ』 　イキナムチがにんまりと笑う。 　『お主には、魔力切れになってもすぐに魔力を注いでくれる者がおるからの』