83 / 111
第83話 黄金の小都
9ー3 闇の魔力※
刺すような鋭い金色の眼差しに俺は、思わず後ろずさった。
だが、リュートは、俺のことを逃さない。
「逃げられると思わないことだ」
リュートは、俺を床に敷かれた上着の上に押し倒した。
リュートから溢れ出てくる黒い魔力を感じて俺は、身構える。
ちろちろと蛇の舌が絡んでくるようにリュートの闇属性の魔力が俺の体に絡んできて俺は、その熱にすでにあてられていた。
リュートは、俺の上にのしかかると俺の唇を奪う。
艶かしく濡れたリュートの唇を受け止めて俺は、小さく悲鳴を上げていた。
「んっ…ふっ…」
リュートは、俺の顎を片手で掴むと口を開けさせる。
リュートの舌が俺の口中を侵してくちゅくちゅと暴れている。
俺は、目を閉じてリュートの舌が自分の舌に絡んでくるのに応じておずおずと舌を差し出した。
リュートは、俺の突き出された舌をぢゅうっと吸うと軽く歯をたてる。
甘い痛みに俺は、呻き声を上げるがその声は、リュートに飲み込まれ消えていく。
激しく長い口づけに俺は、無我夢中で応じていた。
その間もリュートは、俺の中に魔力を流し込んでいて、俺は、その甘美な味にうっとりと酔いしれる。
リュートの魔力は、甘くて、そして、意識が遠ざかるほどに気持ちがいい。
麻薬のように中毒性があるのではないか、と思うほど、一度、味わってしまったらもう、拒むことができなくなるような味だ。
俺は、必死に舌を伸ばしてリュートの与える魔力を味わった。
「ん、はむっ、んくっ」
俺が乳を欲しがる赤子のように吸い付いてくる様にリュートは、満足そうに目を細めていた。
「あっ…」
リュートが突然、唇を離してしまい、俺は、惜しむような声を漏らしてしまう。
リュートは、俺の口許から滴るどちらのものとも知れない唾液をちゅうっとすすり上げるとぺろっと赤い舌先で俺の唇を舐めた。
「体は、こんなに正直なのに。こんなにも俺の魔力に慣らされているのに俺から離れられるとでも思っているのか?」
「ふぁっ!」
俺は、リュートに乱暴に服を脱がされ、なんとかリュートから体を隠そうとした。
だが、すぐにリュートに両手を掴まれ頭上でまとめて縫い止められてしまう。
「この美しい体を俺の目から隠すことは禁じた筈だろう?アンリ」
これから獲物に襲いかかろうとしている肉食獣のようなリュートの視線に晒されて俺の全身に鳥肌がたつ。
それは、冬の日暮れが近づいているからというだけではなかった。
俺は、リュートの眼差しに見つめられて恐ろしさにふるふると震えていた。
ともだちにシェアしよう!

