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第1話
モデルのスカウトが一度や二度ではない整った顔に長身のスタイル、両親は世界でも有名なトップデザイナー、学業は特別勉強しなくても常にトップクラス。
そんな俺の周りには、同様にスペックの高い奴らが集まり、とりわけ、所謂美男美女と言われる奴らが群がるようになった。
俺が誰かをちょっと気に入るようなことを言えばそいつの立場が上がるし、気に入らなければいつの間にか群れからいなくなっている。
それが当たり前になっていた俺は、気まぐれに、もしくはゲームのように誰かにちょっかいをかけては人間関係を掻き回すのが趣味のようになっていた。
そんな中、次のターゲットに決めたのは笹川修悟。
俺の取り巻きほどには整った顔に、親は中堅企業の社長、学業も大体上位をキープ、社交性が高く友達も多い。
自分で言うのもなんだが、俺の下位互換のような彼。
彼のような存在は取り巻きには多くいて、気になったのは取り巻きではなかったから。
ただ、それだけ。
彼本人に最初は気に入ったそぶりをみせたり、ちょっかいかけていたけれど、彼には最近できた恋人がいるらしく、まったく靡く様子がないので、その恋人にちょっかいをかけることにした。
恋人を俺に惚れさせて別れされることは簡単だけど、別れるほどには押しすぎない。
彼もイケメンだから、恋人としては手放すのが勿体ないのだろう。
煮え切らない恋人の態度に、彼はだんだんと荒れはじめた。
最初こそ、まったく気にしていなかった俺と彼のスペックの差が、彼にはボディーブローのように効いているようで恋人が俺と彼を比べる度に荒れているのがわかった。
もう、彼の方から我慢できずに別れるだろうかと様子を見ているも、寸でのところで耐えている彼に、思い通りにコトが進まないゲームに俺もイライラしはじめた。
「修悟さ、恋人がカワイソウにならないワケ?何をとっても俺に勝てないでしょ?」
「はあ?」
「恋人もさ、俺のことの方がカッコいいっていってたでしょ。」
「言ってろ。」
「恋人だけじゃなくてさ、誰もが、修悟より俺の方がかっこいいって言うんじゃない?」
「それはない。」
「は?」
「、、、先生は絶対に言わないだろうな。」
「誰それ。身内?そもそも俺に会ってない人想像するのは無意味じゃん。」
「会っても絶対に言わない。」
そう言い切ってその場を離れた修悟。
普段なら絶対しないような幼稚な言い合いをするほどにはフラストレーションが溜まっていたらしい。
しょうもないな、と思いながらも、彼が絶対、と言い切る「センセイ」に興味をもちはじめた。
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